居心地良い空間、学生が提案 掛川市が社会実験 活気取り戻す糸口になるか【解説・主張しずおか】

 学生がデザインしたベンチなどのストリートファーニチャー(街路設備)を歩道などに置き、中心街を居心地の良い空間に変えようと、掛川市が本年度から社会実験を始めた。市から委託を受けたNPO法人かけがわランド・バンクが静岡理工科大と協力して実施している。若い柔軟な発想が街中の活気を取り戻す糸口になるか期待がかかる。

街路設備デザインを提案する鬼頭拓巳さん(右)=7月上旬、掛川市の大日本報徳社
街路設備デザインを提案する鬼頭拓巳さん(右)=7月上旬、掛川市の大日本報徳社

 利用者がベンチやテーブルなどを自由に組み立てられるよう棒と板を貸し出し、二宮金次郎がまきを背負うように持ち運んではどうか。7月5日に大日本報徳社で開かれたストリートファーニチャーのデザインコンペには独創的な作品が数多く出た。
 発表したのは同大の田井幹夫准教授の研究室で建築を学ぶ大学4年生と大学院生10人。最優秀賞に選ばれた4年の鬼頭拓巳さんは、「このまちをどうにかしたい。自分のアイデアが起爆剤となれば」と意欲を示した。
 審査員は家具デザイナーの藤江和子さんやテキスタイルデザイナーの安東陽子さんら7人。実用性や公共空間に合うかなど審査員それぞれの立場から評価した。今後、入賞作品のデザインで複数のベンチを作り、夏ごろから掛川城の三の丸広場や市道の歩道に点在させて人の流れを調査する。
 かけがわランド・バンクの丸山勲理事長(48)はベンチの周辺に屋台の出店も計画中。「学生の発想が新たなまちづくりのスタートになれば。結果につなげて、街中の活性化を図りたい」と社会実験への思いは強い。
 「古地図に載っている店が今も数軒残るほど歴史があるが、店の数は最盛期の7分の1ほど」と話すのは連雀商店街振興組合の副理事長兼事務局長の小原栄一さん(74)。JR掛川駅前から掛川城まで中心街の空洞化は長年の課題で、将来像を描けない状態が続いている。
 城下町の風情は残したいが、にぎわいを取り戻すためには従来のやり方では突破口が開けない。小原さんは商店街の歴史や自身の思いを語った上で、「若い人の無鉄砲な発想はおもしろい」と型にはまらないデザインに期待を寄せる。
 市は国土交通省が募集する「ウォーカブル(歩きたくなる)推進都市」に参加していて、社会実験もその一環。久保田崇市長は「中心市街地のあり方を探る協議の場をつくりたい」との方針。街の未来像をどう描くか、社会実験をきっかけに市全体で考えたい。
 (掛川支局・伊藤さくら)

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