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粘土質泥、狭い道路… 重機進入難航、作業加速に壁 熱海土石流

 「重機がもっと入れば捜索と土砂撤去が進むのに」-。熱海市伊豆山の大規模土石流の現場は発生から10日が経過した13日になっても大量の土砂との戦いが続き、捜索隊の関係者はそろってもどかしさを口にする。重機進入が難航する理由は大量の土砂や、熱海特有の幅の狭い道路。災害対策本部によると、初めて重機を投入できたのは12日になってから。約30台の重機が待機しているが、使用は13日も7台に限られた。
 現場では、土砂でせき止められた新幹線ガードが“ダム”になり、戦略的に作業を進めないと、下流部で新たな土石流災害をもたらす危険もある。消防、警察、自衛隊などが粘り強く知恵を絞りながら作業を進めている。
 17人の行方不明者の捜索・救助で、木材の除去や土砂の搬出に油圧重機は欠かせないが、現状の使用は小型重機に限られる。捜索・救助と並行し、中型以上の重機を入れるための道づくりがようやく始まった段階だ。
 捜索隊は積もった泥やがれきの中、行方不明者の所在を手作業で確認している。通常、人がいないと確認できた場所は重機を使って土砂や損壊した家屋を除去するが、今回はスコップやバケツでの作業が続いている。「粘土質の泥。がれきにまとわりついて、除去するのにかなりの労力がかかっている」。現場で活動中の静岡県警の河合聡志警部補(38)は手作業の難しさを説明する。
 同本部は山側の市道と海側の国道135号から大きく2方面で作業を進める戦略だが、海側は二次被害の危険から水の流路を変える必要があり、着手には1週間程度掛かる見込み。当面は山側から現場にあるがれきを利用して土砂の段差を解消し、捜索地域全体に車両が行けるよう整備を進める。「環境が整えば約30台の重機を全て使いたい」と熱海市消防本部の植田宜孝消防長。重機の全域展開で捜索隊を効率的に動かし、行方不明者捜索活動の加速を図る。

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