沼津女子大生刺殺 男に懲役20年「理不尽な逆恨み、残忍」

 沼津市西浦久連で2020年6月、大学生の女性=当時(19)=を刺殺したとして、殺人やストーカー規制法違反などの罪に問われた同級生の住所不定、無職の男(21)の裁判員裁判判決公判で、静岡地裁沼津支部は13日、懲役20年(求刑無期懲役)を言い渡した。
 菱田泰信裁判長は判決理由で、無料通信アプリLINE(ライン)をブロックされたことで絶望し殺害を決意した動機に関し、「あまりに理不尽な逆恨みや八つ当たりというほかなく、酌むべき点は全くない」と非難。女性には致命傷となる刺切創が複数あり、「犯行態様は執拗(しつよう)で残忍。殺意は極めて強固」と指摘した。検察側は、被害者と加害者の関係性は「他人同然」と主張したことについて、判決はラインのやりとりなどから2人は「一定の交流が存在し、知り合いの関係にある」とした。量刑の理由について「まだ若年で更生の余地がある」と述べた。
 判決によると、被告は20年6月27日午後、沼津市内に駐車中の車の中で女性の腹を包丁で突き刺した上、逃げる女性を路上に転倒させ首や背中などを複数回刺して殺害した。事件前にはラインなどでメッセージを多数回送信した。

 ■遺族「到底納得いかない」
 沼津市で2020年6月、大学生の女性=当時(19)=を刺殺したとして、殺人やストーカー規制法違反などの罪に問われた同級生の男(21)に、懲役20年を言い渡した静岡地裁沼津支部の判決。女性の両親は公判後、代理人弁護士を通じ「最愛の娘を殺した犯人の判決が、懲役20年というのは到底納得がいかない」と胸中を明かした。
 公判に出廷した両親は、「裁判を通じて被告からは全く反省が伝わってこなかった」と振り返った。「弁護側が求めた懲役22年よりも軽い判決に絶望的な気持ち。今後のことは関係者と相談して決めたい」とコメントした。代理人弁護士によると、検察側に控訴するよう伝える方針という。
 静岡地検沼津支部の友添太郎支部長は「判決内容を検討した上、上級庁とも協議し適切に対応したい」としている。
 一方、被告の弁護人は「控訴については本人に確認する」と述べた。

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