住家被害調査にドローン 罹災証明、迅速認定に活用 熱海土石流

 熱海市伊豆山で発生した大規模土石流で、静岡県と熱海市は13日までに、住家の被害認定調査にドローンや航空写真を活用する方針を決めた。従来は調査員が一軒一軒見て回って被害状況を確認するが、被害が甚大なため、空撮写真を使って迅速な認定作業を行い、被災者の早期生活再建につなげる。

連日、捜索が続く被災現場。ドローンによる被害認定作業が行われる=13日午前10時、熱海市伊豆山
連日、捜索が続く被災現場。ドローンによる被害認定作業が行われる=13日午前10時、熱海市伊豆山

 県によると、家屋の被害認定では全壊や大規模半壊、半壊などを判定する。被災者が罹災(りさい)証明書の発行を受けるための必須の作業となる。現地は二次災害のリスクから立ち入りが制限され、調査員も実地調査できていない一方、被災者の早期の再建が求められている。こうした背景から空撮写真を活用する。
 国や県、市が撮影した写真で判定作業を進める。判定が難しい場所にある家屋についてドローンを活用する。被災した範囲は延長約1キロ、最大幅約120メートル。県によると、建物は122棟が被災し、44棟は完全に流出した。残る78棟は建物は残っているが、全壊扱いとなるような家屋もあるとみられる。
 空撮写真の活用は2018年3月、内閣府が被害認定基準の運用指針を改定して実現した。16年4月の熊本地震で被害認定が遅れたことがきっかけになった。19年10月に関東や東北で記録的大雨となった台風19号の被害調査に用いた例があるという。
 県危機管理部の担当者は「内閣府や県の担当者が現地入りして市と調査手法の詳細を協議している。早急に判定結果を出していく」と話す。

 <メモ>罹災証明書 地震や風水害で被災した住宅を市町村が調べ、国の基準で「全壊」「半壊」「一部損壊」など6段階で判定して交付する証明書。損害の程度が50%以上で全壊となる。被災者生活再建支援金や義援金の給付、税金の減免といった公的支援を受ける際に必要になる。2013年の災害対策基本法改正で、被災者から申請があれば市町村長は遅滞なく発行することが明記されたが、現地調査に時間がかかり支援が滞ることが課題になっている。

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