熱海土石流盛り土 工法変更届け前に造成か 北東の一部、2009年6月 国土地理院地形データ分析

 熱海市伊豆山で発生した大規模土石流の起点付近で崩落した盛り土に関し、神奈川県小田原市の不動産管理会社(清算)が熱海市に工法の変更を届け出る前の2009年6月時点で、既に盛り土の一部を造成していた可能性があることが12日、国土地理院や県への取材で分かった。県と熱海市は経緯を詳しく調べる方針。

崩落した土石流起点付近。茶色い部分が地山、黒い部分が盛り土とみられる=10日、熱海市伊豆山(本社ヘリ「ジェリコ1号」から)
崩落した土石流起点付近。茶色い部分が地山、黒い部分が盛り土とみられる=10日、熱海市伊豆山(本社ヘリ「ジェリコ1号」から)


 国土地理院は、09年6月に国土交通省中部地方整備局が計測した地形データと、19年12月に県が計測した地形データ、同院が土石流発生後の今月6日に計測した地形データの3種類で、標高の変化を比較した分析結果をまとめた。
 それによると、09年6月に計測した地形データでは、崩落部の北東側斜面は棚田状になっていて、県は同月以前に盛り土されたとの見方を強めている。国土地理院の分析結果で09年6月以降に盛り土されたとみられる箇所には含まれていない。
 09年6月以降に盛り土されたとみられる土砂量は約5万6千立方メートル、土石流によって削られた盛り土や地山は約5万8千立方メートルだった。また、09年6月以降にかさ上げされた盛り土のうち、崩落部の南西側を中心に2万1500立方メートルが落ち残ったと推定した。
 不動産管理会社は県土採取等規制条例に基づき07年3月に盛り土の届け出を熱海市に提出。09年7月に市から防災措置などを講じるよう指導を受け、09年12月に工法などを変更して届け出を出し直した。計画の盛り土量は3万6641立方メートル。難波喬司副知事は現場の状況を踏まえ、土石流発生前の盛り土量は届け出の2倍超の約7万~8万立方メートルと推定している。

いい茶0
あなたの静岡新聞 アプリ
地域再生大賞