静鉄引退車両、熊本電鉄へ 貨物専用フェリーに積み込み
新型車両として1979年に導入され、ことし2月に引退した静岡鉄道の「1009号」(2両編成)が12日、熊本電鉄(熊本市)に有償譲渡されるため、静岡市清水区の袖師埠頭(ふとう)から貨物専用フェリー「RORO(ローロー)船」に積み込まれた。

専用車にけん引された1009号は川崎近海汽船の「冨王丸」(全長173・3メートル)の積み込み口に合わせ、あらかじめパンタグラフと車輪が外された状態。RORO船から波止場に降ろして積み荷する「ランプウェイ」(架橋構造の斜路)を1009号が渡りやすくするよう、積み込み口と岸壁の高低差が少ない干潮時をあえて狙って作業した。
清水港から大分港に向けては、週5便RORO船の定期航路がある。関係者によると、近年トラック運転手の不足が深刻化し、トラックによる貨物輸送を船舶などの大量輸送に切り替える「モーダルシフト」の重要性が清水港でも増している。中部横断自動車道の全線開通で一層需要が伸びる可能性もある。
積み込み現場には静鉄や県、鈴与などの担当者が立ち会った。ステンレス製の車体を見ながら「子供のころ、ステンレス製の最新鋭の車体を見てワクワクした。熊本でも活躍してほしい」と話す関係者(58)もいた。