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熱海土石流 避難者の一時帰宅開始 人数や時間制限

 熱海市伊豆山地区を襲った大規模土石流の発生から10日目となった12日午前、被災地では避難者の一時帰宅が始まった。同市は11日、新たに1人の死亡を確認したと発表した。犠牲者は10人になった。既に死亡が確認されていた9人のうち、1人の身元が古川静子さん(77)だったことも判明した。行方不明者は18人になった。

一時帰宅が始まりバスを降りて自宅方面へと向かう準備をする避難者ら=12日午前9時12分、熱海市伊豆山
一時帰宅が始まりバスを降りて自宅方面へと向かう準備をする避難者ら=12日午前9時12分、熱海市伊豆山
一時帰宅が始まり徒歩で自宅方面へと向かう避難者ら=12日午前9時13分、熱海市伊豆山
一時帰宅が始まり徒歩で自宅方面へと向かう避難者ら=12日午前9時13分、熱海市伊豆山
一時帰宅が始まりバスを降りて自宅方面へと向かう準備をする避難者ら=12日午前9時12分、熱海市伊豆山
一時帰宅が始まり徒歩で自宅方面へと向かう避難者ら=12日午前9時13分、熱海市伊豆山

 市は避難者の要望を受け、12日から3日間、一時帰宅の機会を設けた。市によると、初日は土石流より南西側の住民が帰宅する。1世帯2人まで、2時間の制限付きで、自宅に置き忘れた貴重品や医薬品などを持ち帰る。地区ごとに分けて、市が用意したマイクロバスで送迎する。
 市によると12日現在、市内2カ所のホテルで約580人が避難生活を送っている。
 被災現場では厳しい暑さの中で警察、消防、自衛隊などの1700人態勢で懸命な捜索が続いている。
 同市などによると、11日に発見された死者の性別は不明。被害が大きかった岸谷(きだに)地区の寺院「般若院」周辺で見つかった。古川さんは6日、国道135号の逢初(あいぞめ)橋周辺の倒壊家屋近くで土砂の中から発見されていた。
 現場上流部では、土砂の不安定な状況が続いているとみられ、11日には2度、小崩落があったとして捜索活動を中断した。

 ■「家の崩壊 どれほど」不安抱え帰宅
 熱海市は12日、同市伊豆山で発生した大規模土石流で被災し、現在も避難生活を送っている住民の一時帰宅を開始した。初日の第1陣には、約10人が自宅付近までマイクロバスで移動し、市職員の誘導で立ち入り規制区域の中に入り、つかの間の帰宅を果たした。
 午前9時ごろ、被災エリア付近に到着したバスから降り立った被災者は、大きなバッグなどを手にして自宅に向かった。
 市によると、被災者の中には土石流発生時、貴重品などを持ち出さずに着の身着のまま避難した人が多いという。中には、「位牌(いはい)を持ち帰りたい」「気持ちの整理を付けるためにも、家があった場所を見ておきたい」などの声があったという。
 被災エリアでは、多くの住民が不在にしているため、県警が空き巣防止のパトロールを行っている。一時帰宅した避難者は、自宅の施錠も再確認した。
 同市の熱海ニューフジヤホテルに近所の友人2人と避難した無職山口シズエさん(82)は午後に血圧の薬など当面必要な物を取りに帰るという。「小田原から息子も来てくれる。今日はあくまで家の状況の確認。いつ戻れるかわからないから」と複雑な心境を説明した。
 設計業の馬場康太さん(51)は12日に帰宅予定。「災害発生時は仕事で外出していたため、家がどれほど崩壊しているのか、全く様子が分からない」と不安をのぞかせ、必要最低限な物に加えて「本を持ち帰りたい」と長引く避難生活のストレスを訴えた。市によると、一時帰宅は14日までの3日間、希望者を募って行うという。

 ■熱海市が公表した行方不明者名簿(12日午前9時現在、敬称略)
小川  徹 オガワ トオル    男
太田 和子 オオタ カズコ    女
坂本 玲子 サカモト レイコ   女
臼井 直子 ウスイ ナオコ    女
古川謙三郎 フルカワケンザブロウ 男
西澤 友紀 ニシザワ ユウキ   女
好川美代子 ヨシカワ ミヨコ   女
石田  明 イシダ アキラ    男
瀬下 陽子 セシモ ヨウコ    女
松本 孝広 マツモト タカヒロ  男
松本 光代 マツモト ミツヨ   女
太田佐江子 オオタ サエコ    女
太田 幸義 オオタ ユキヨシ   男
草栁 笑子 クサヤナギ エミコ  女
坂本 光正 サカモト ミツマサ  男
坂本 紗花 サカモト スズカ   女
松本 季和 マツモト キワ    女
根來 敏江 ネゴロ トシエ    女
 情報提供は熱海市災害対策本部<電0557(86)6443>へ


 

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