生産者減 ブランド統一も選択肢【クラウンメロン100年④完】

 6月下旬、午前7時の静岡県温室農業協同組合磐田支所(磐田市豊島)。出荷用のメロンを詰め込んだ箱が、次々に運び込まれた。集まる生産者に若手の姿は少ない。「体力は落ちた。でも続けられる限りは続けないと」。市内の生産者の男性(82)はつぶやく。

出荷に向けて運び込まれるアローマメロン。高齢化に伴う生産者の人手不足などが問題になっている=6月下旬、磐田市豊島の県温室農業協同組合磐田支所
出荷に向けて運び込まれるアローマメロン。高齢化に伴う生産者の人手不足などが問題になっている=6月下旬、磐田市豊島の県温室農業協同組合磐田支所
静岡県温室農業協同組合の組合員数推移
静岡県温室農業協同組合の組合員数推移
出荷に向けて運び込まれるアローマメロン。高齢化に伴う生産者の人手不足などが問題になっている=6月下旬、磐田市豊島の県温室農業協同組合磐田支所
静岡県温室農業協同組合の組合員数推移

 温室メロン栽培が盛んな中東遠地域では、同じ種をルーツに持つメロンの多様なブランドが生まれ、再編されてきた。組合は現在3支所体制で、クラウンメロン支所(袋井市)が「クラウン」、磐田(磐田市)と静南(掛川市)の両支所が「アローマ」を生産する。高齢化や後継者不足に伴う生産者と生産額の減少は、どの地域も喫緊の課題だ。多いときには計2千人以上いた組合員は2019年度末時点で392人。中でもアローマを生産する2支所の組合員数は合計してもクラウンの生産者数(239人)に及ばず、153人にとどまる。
 ブランド統合の議論は、20年以上前から何度も交わされてきた。しかし、各支所や支所内で統合に対する考え方に温度差があり、実現に至らず、ブランドの一本化に向けた模索が続いている。
 「早くブランド名を統合して、産地強化を図るべき」。産地衰退に危機感を持つ磐田支所生産部長の石川知明さん(50)=磐田市駒場=は「栽培にかかる経費は上がり続け、人手不足で休みも取りづらい。今いる若手の体力があるうちになんとかしないと」。県西部の温室メロン産地が一体となって発信力を高め、就農者確保に動くことが必要だと捉える。
 「芳香」を意味するポルトガル語に由来するアローマメロンは、03年に商標統一してできたブランド。鈴木一郎磐田支所長は「良いものを作っている自負がある。長年のブランド名が消えてしまうのは悔しいが、統合はやむを得ない流れかもしれない」。
 ただ、3支所の組合員の心情、品質の統一化、出荷体制など乗り越えるべき課題は多い。中條文義クラウンメロン支所長は「合併は選択肢の一つ」と可能性を認め、「将来を考えて各支所長をはじめとする役員が、リーダーシップをとる必要がある」。将来に向け思い切った決断が不可欠のようだ。
 (袋井支局・仲瀬駿介、磐田支局・太田達也が担当しました)

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