テーマ : 熱海市

ホテルを住民の避難所に 観光地の特性生かす 熱海土石流

 熱海市伊豆山で発生した大規模な土石流への対応で、市は2カ所の観光ホテルを避難所として活用している。ホテルを活用することで市職員を他の業務に振り向けられるほか、コロナ禍の対策や避難所の効率運営が可能になるなど利点は大きい。ただ、現状の対応がいつまで続くかは不透明。避難者は先行きに不安を抱きつつ、避難生活を送っている。

避難所になっているニューフジヤホテル。物資の搬入には避難者も協力している=6日午前、熱海市
避難所になっているニューフジヤホテル。物資の搬入には避難者も協力している=6日午前、熱海市

 「新型コロナウイルスの流行を考えると、ホテルに移る前の避難所は不安があった。客室を使わせてもらい、本当に助かる」。被災した岸谷地区からニューフジヤホテルに身を寄せた鈴木寛治さん(64)は、市やホテルの配慮に感謝する。
 同室の妻(54)は介護職。ホテルを拠点に訪問介護の仕事を再開した。避難生活への不満はないというが、1階が土砂に埋まった自宅が気がかりだ。「家の中を整理したいが、いつ帰宅できるのだろうか。まったく見通しが立たないのがつらい」とこぼした。
 市によると、2カ所のホテルに避難するのは562人(6日現在)。ニューフジヤホテルに507人、ホテルニューアカオには福祉施設の入居者と職員55人が避難している。
 ホテルニューアカオ企画室の杉山聖也マネジャーは「市民のためにできることを考えた。市の要請の前に避難者の受け入れが可能と伝えた」と説明する。
 全国有数の観光地という特性を生かした対応が避難者の負担軽減につながっている一方、避難生活が長期化する懸念がくすぶる。新型コロナワクチンの接種が進む中で迎える夏の行楽期を控え、いつまで観光ホテルを活用できるかも未知数だ。
 避難者数が今後、増える可能性も否定できない。市は6日、一度は閉鎖した市立第一小の指定避難所を再び開設した。避難者16人がニューフジヤホテルに入れなかったことが理由で、今後も調整が難航する可能性もあり、綱渡りの対応を強いられている。

いい茶0

熱海市の記事一覧

他の追っかけを読む
地域再生大賞