テーマ : 福祉・介護

迫る土石流、命がけ救出 高齢者ら避難所に搬送 熱海・介護タクシー経営の河瀬さん夫妻

 大規模な土石流に見舞われた熱海市伊豆山で介護タクシー会社「伊豆おはな」を経営する河瀬豊さん(51)、愛美さん(45)夫妻は3日の発生当時、土砂やがれきが間近に迫る中で逃げ遅れた高齢者らを命がけで救出した。いまだに20人超の安否が確認できていない状況に「1人でも多く助かってほしい」と切望する。

土石流発生時に高齢者の避難を助けた河瀬夫妻。被災者に心を寄せながら福祉タクシー業務を続ける=4日午後、熱海市総合福祉センター
土石流発生時に高齢者の避難を助けた河瀬夫妻。被災者に心を寄せながら福祉タクシー業務を続ける=4日午後、熱海市総合福祉センター

 夫妻の会社は多くの住宅が土石流に破壊された岸谷(きだに)地区にある。土石流の発生は、利用者の通院支援を終えて会社に戻る途中に市の防災メールで知った。事務所まで十数メートルの場所まで土石流が迫り、所有する3台の車両のうち1台を失った。
 近所に認知症や足が不自由な高齢者が多いことを知っていた夫妻は、地元の消防団員の手も借りながら手分けして避難を支援した。「最終的には10人ぐらい避難所に送った。気付いた時にはずぶぬれだった」
 突然の災害で普段から服用する薬を持たずに逃げた人も多くいたため、避難所で薬が不足していることを会員制交流サイト(SNS)で発信した。これに市内の複数の医療機関が反応。診察や処方を買って出たり、経口補水液などを避難所に届けてくれたりと、支援の輪が広がった。
 事務所の周辺では今も懸命な捜索活動が続き、規制線が張られて立ち入ることができない。豊さんは「悲しみやつらさはもちろんあるが、自分たちがやれることをやるだけ」と言い聞かせる。
 現在は事務所の代わりに、市の支援で福祉センターの廊下に機材を並べ、業務を続けている。愛美さんは「私たちと同じ思いの市民はたくさんいる。みんなでこの危機を乗り越えたい」。そうつぶやいた。

 

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