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熱海土石流「私は無事」 相次ぐ報告、SNSでの発信届かず

 熱海市伊豆山で発生した大規模土石流で、安否が分からない64人の名簿公表から一夜明けた6日早朝までに、本人や知人らから市への連絡が相次ぎ、安否不明者は24人に減った。生存を確認できた人の多くは実家や知人宅などに身を寄せていたが、中には会員制交流サイト(SNS)で被災直後から生存を発信していた人も含まれるなど、被災後の混乱で情報精査が十分できない現状が表面化した。

取材に応じ安全を報告する石井裕隆さん=6日午前9時ごろ、神奈川県湯河原町のJR湯河原駅前
取材に応じ安全を報告する石井裕隆さん=6日午前9時ごろ、神奈川県湯河原町のJR湯河原駅前
発災後72時間を前に作業を急ぐ捜索隊員=6日午前10時ごろ、熱海市伊豆山の逢初橋付近
発災後72時間を前に作業を急ぐ捜索隊員=6日午前10時ごろ、熱海市伊豆山の逢初橋付近
取材に応じ安全を報告する石井裕隆さん=6日午前9時ごろ、神奈川県湯河原町のJR湯河原駅前
発災後72時間を前に作業を急ぐ捜索隊員=6日午前10時ごろ、熱海市伊豆山の逢初橋付近

 名簿に含まれていた熱海商工会議所職員の石井裕隆さん(36)はSNSを通じ、土石流の発生を外出先で知った。妻志歩さん(30)や愛犬も含めて無事だったため、SNSで発信して「すべき事はやった」と安心したという。市が指定する避難施設を使わず、6日現在は志歩さんの親族の住居に避難している。
 公表直後に静岡県内外の多数の知人から連絡を受け、すぐ市に連絡。「被災時に取るべき行動が分からなかった。公表が無ければ安否を連絡する発想は浮かばなかった」と困惑した様子で振り返った。
 安否確認は市職員が電話で聞き取った。石井さんの職業上、普段から交流する市職員は多いものの、発災後の膨大な作業量などが影響し、職員間で情報の精査ができなかった。
 一方、名簿に親戚の名前があったという男性(46)は「被災現場は事業所も多く、外から働きに来ている人の名前が載っているケースもあるはず。間違いであってほしい」と願うように語った。
 公表の時期や内容を巡り県との足並みが乱れるなど混乱も生じたが、斉藤栄市長は同日午前に開いた記者会見で「できるだけ早く情報を提供することが重要で、公表は今後の捜索などにプラスになる」と強調。午前10時半に土石流発生から72時間が経過したが「1人でも多くを救出できるよう全力を注ぐ」と述べた。

 

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