モーツァルト聴かせ米生育 浜松・西区、じゅんちゃんファーム

 米、コマツナ栽培の「じゅんちゃんファーム」(浜松市西区、宮本純代表)が、もみの段階からクラシック音楽を聴かせて米を生育させる「音響栽培」を始めた。音楽の街・浜松ならではのユニークな栽培方法で付加価値を高めようと、ブランド力強化を図る。

上空から稲に音楽を聞かせようと調整するじゅんちゃんファームの宮本純代表(左)ら=6月下旬、浜松市西区
上空から稲に音楽を聞かせようと調整するじゅんちゃんファームの宮本純代表(左)ら=6月下旬、浜松市西区
じゅんちゃんファームが今秋発売予定の「踊ら米か」の商品イメージ
じゅんちゃんファームが今秋発売予定の「踊ら米か」の商品イメージ
上空から稲に音楽を聞かせようと調整するじゅんちゃんファームの宮本純代表(左)ら=6月下旬、浜松市西区
じゅんちゃんファームが今秋発売予定の「踊ら米か」の商品イメージ


 商品名は「踊ら米か(おどらまいか)」。ことし5月に育苗施設内にヤマハ製の音響機材を導入し、午前8時から日没までモーツァルトの音楽をかけて苗を育ててきた。6月下旬にはドローンを使い、田んぼ上空から田植え後の稲に向け音楽を響かせた。空撮画像から生育を確認し、必要最小限の追肥や農薬散布を行うためのドローン活用も本格導入を検討している。
 同社は2年前から、音響栽培したコマツナを「コマツ~ナ」の商品名で販売している。もとは運輸会社に勤務していた宮本代表。就農直後は農協を介した共同販売に注力してきたが、経営基盤強化に向けた直販を模索する中で「楽器産業の盛んな街ならではの特色を自社ブランドに盛り込み、全国に認知してもらえる農作物として発信しよう」と発案した。
 音響栽培では、音波の振動が作物の光合成を促す効果が期待され、同社は高周波音が多いとされるモーツァルトの楽曲を選択した。宮本代表は「コマツナの自社実験では音響栽培で収量が増え、栄養価にも効果が出ている。稲作での効果は収穫後に検証するが、苗の生育は非常に順調」と意気込む。
 昨年度からは、県農業法人協会と県立大経営情報学部の「アグリビジネスコンサルティング(ABC)事業」に参加。学生とチームを組んでブランド力向上に取り組み、昨年度は「コマツ~ナ」の情報発信強化で販路拡大につながった。
 宮本代表は「SNSの活用やレシピ考案など、学生視点の発想を生かし新たな購買層を獲得していきたい」と話す。
 (経済部・石井祐子)

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