静岡人インタビュー「この人」 高嶺透さん 静岡地方気象台長に就任
地震、津波に関する仕事に長く携わってきた。大阪管区気象台の地震情報官を経て現職。沖縄県出身。

―本県の印象は。
「静岡に勤務するのは初めて。駿河湾や富士山に代表されるように地形が変化に富み、自然豊か。耐震化が進んだ建物が多く、防災先進県だと感じる」
―記憶に残る仕事は。
「東日本大震災時、東北地方に『大津波警報』を出した。大阪管区気象台に勤めていて、あの日は防災情報を発表する当番だった。激しい揺れで対応が難しかった本庁からの指示で、バックアップ機能がある大阪から発表した」
―どんな思いだったか。
「『早く避難して』と祈る気持ちだった。最善は尽くしたと考えるが、多くの方が犠牲になり、今も複雑な思いが残っている。県内では南海トラフ地震が想定されている。発表した防災情報が人々の避難行動に結び付くように、広報や周知に力を入れたい」
―風水害への備えも求められる。
「牧之原市では5月の突風で大きな被害が出た。2年前の台風19号では県内の広い範囲で浸水被害が起きた。平時はハザードマップで危険箇所を確認し、大雨時は危険度を地図上で表示する気象庁の『キキクル』を活用してほしい」
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家族で赴任。ジョギングしながら、静岡市内の海岸や山を巡っている。
(社会部・武田愛一郎)