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東京海洋大実験「濁りの影響、科学的証明」 地元漁業関係者ら進展注視【サクラエビ異変 母なる富士川】

 東京海洋大学術研究員の荒川久幸教授(58)=海洋光環境学=の研究グループが、サクラエビの主産卵場の駿河湾奥に富士川などから強い濁り水が注いでいる問題について、「濁りはサクラエビの卵のふ化や幼生の成長を阻害する」との実験結果をまとめたことに対し、漁業関係者や富士川流域住民から29日、「濁りの影響が科学的に証明された」「今後の研究の進展を注視していきたい」などの声が上がった。
 由比港漁協の宮原淳一組合長(80)は「アタマグロ(産卵間近の親エビ)の提供など研究協力ができたことがうれしい」と評価。その上で「春漁でも日本軽金属蒲原製造所放水路沖や富士川沖にはほとんど魚影がない。植物プランクトンの存在は確かめられているのになぜか。濁りの影響が科学的に証明された」と漁協として今後の研究を注視する方針を明らかにした。
 県水産・海洋局の板橋威局長は「富士川沖と放水路沖で浮遊物質量(SS)の調査を継続している。本年度も5回行う予定だ。実験結果は直接確認していないのでコメントできない」と述べた。
 県桜えび漁業組合の実石正則組合長は駿河湾の実際の環境がどの程度、実験で再現されたか確認の必要があるとしつつも「県も水質調査を行うと言っている。多様な機関が今後行う調査、実験を注視していく」とした。
 富士川の環境改善を求める市民有志の請願を委員会採択した富士宮市議会でも関心が寄せられている。深沢竜介市議は「生物がすめるかどうかは環境を考える上で大きな指標の一つ。人体に影響があるかどうかだけでなく、生物の視点も含めて議論を深めたい」と強調。住民団体「富士川ネット」の青木茂代表幹事(66)=山梨県富士川町=は「森と川と海はつながっている。富士川と駿河湾の再生のため官民を挙げて取り組まなくてはならない」と訴えた。
 (「サクラエビ異変」取材班)

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