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コーヒー抽出 全国大会で高評価 静岡の就労支援事業所

 障害者の活躍をもっと知って-。コーヒーの抽出技術を競う障害者による全国大会「チャレンジコーヒーバリスタ」に静岡市清水区の就労継続支援B型事業所「キャンバス」が出場し、三つの特別賞を獲得した。コーヒーの焙煎(ばいせん)やドリップバッグ製造を手掛ける事業所は「日頃から品質の高い商品作りや丁寧な作業を心掛けている成果が評価された」と快挙を喜ぶ。

コーヒーの抽出技術を競う全国大会で特別賞を三つ獲得した事業所のメンバー=5月上旬、静岡市清水区
コーヒーの抽出技術を競う全国大会で特別賞を三つ獲得した事業所のメンバー=5月上旬、静岡市清水区

 「コーヒーの味わいは豆をブレンドする割合や入れ方で変わります」
 5月下旬、香ばしさが漂う事業所施設で、大会に出場した泉健斗さん(24)ら4人がコーヒーを抽出してくれた。指定された豆をブレンドし、専用器具で粉末に。香りが引き立つようにゆっくり湯を注ぐと、審査員たちをひきつけた味わい深い一杯が完成した。
 コーヒー事業を始めたのは約3年前。利用者らの一般就労を見据え、高品質の商品作りを掲げて健常者に負けない技術力や作業の正確さを身に付けることに重点を置く。現在は身体まひや精神疾患がある16人が作業し、6種類の生豆を仕入れ客の好みに応じて独自に焙煎ブレンドしている。コーヒーの専門家「バリスタ」の指導で、焙煎方法や入れ方の腕も磨く。
 味は好評で、手応えを感じているが、商品の販路拡大が課題だ。利用者の自立には安定した工賃の確保が必要だが、新型コロナウイルス禍によって訪問販売も自粛を余儀なくされている。
 事業所管理者の望月導章さんは「商品が評価されるチャンスが広がれば、工賃の増加だけでなく障害者の働く自信になる」と話す。
 事業所ではコロナ感染収束後、障害者の作る商品を購入支援する「ウェルフェアトレード」の理解促進を図るため、各地に露店を増やして全国で認められたコーヒーを提供する予定。泉さんは「自分たちの努力を知ってもらいながら、いろいろな事に挑戦したい」と語った。
 (社会部・市川幹人)
 
 ■販路拡大 静岡県も後押し
 授産品の販路拡大に向け、県は8月から試験的に、就労支援事業所などが作った商品を専門に扱うオンラインショップを設立する。ネット通販の決済方法や発送手続きが分からず、導入をためらう事業所のニーズに応え、購買促進や障害者の工賃向上を後押しする。
 県によると、一般就労が難しい人に働く機会を提供する就労継続支援B型事業所の県平月額均工賃(2019年)は全国を上回る1万6511円。ここ10年で県平均は約3900円上昇したが、県障害者政策課の黒柳順也さんは「新型コロナ感染拡大による打撃を補うため、今後も支援に力を入れていく」と話す。
 県では福祉事業所の商品開発を補うためアドバイザー派遣制度も創設し、事業活動を支援する。ダイバーシティ就労支援機構(東京都)の岩田克彦代表理事は「障害者の社会進出を後押しするには、福祉と労働政策を一体的に推進することが重要。福祉事業所への製品発注した際の税制優遇制度の拡充なども模索していくべきだろう」と指摘する。
 
 <メモ>チャレンジコーヒーバリスタ 障害者の技術向上と雇用創出を目的に今年5月に都内で初開催された。3~5人のチームを編成し、全国から書類選考を通過した10組がエントリー。大会主催者が用意した焙煎豆や器具を使って審査員の前でコーヒーを入れ、抽出技術やブレンド、風味バランス、接客などを総合的に評価する。

 

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