マシンガントーク炸裂 あの人に聞きたい/熱海の名物店主 正木延衛さん(神奈川県湯河原町)【NEXT特捜隊】

 「熱海が誇る名物店主」として、数々のテレビのバラエティー番組に出演する熱海市咲見町の静岡茶専門店「茶千」の店主・正木延衛さん(79)。静岡市葵区の主婦から「大きな笑い声が特徴的な正木さん。実際はどんな人なのか気になります」と取材依頼が届いた。同店を訪ねると、テレビと変わらぬテンションで、3時間にわたりマシンガントークを披露してくれた。

正木延衛さん(神奈川県 湯河原町)
正木延衛さん(神奈川県 湯河原町)

■若い頃は無口だった
 熱海の共同風呂に漬かって、平和通り商店街走り回って。生まれは東京だけど、熱海育ちの熱海っ子だよ。小さい頃は英語習ったり、お稽古事をいっぱいしてた。でも、背が小さくて、コンプレックスが強かった。大学出てからプロゴルファーになりたかったけど諦めた。20代は暗中模索。本当に苦しかった。いくつか仕事をしたけど、何か違って。父方の先祖が京都でお茶を販売してたから「自分はこれだ」と「茶千」を継いだ。でも対面商売は嫌いだった。商人の子のくせにあまりに無口だから、母親に「外を見て来い」と言われて。30代は世界中を旅行した。マカオの山の中で、知らない男5人くらいに囲まれたりしてね。そんなことしてたら、前よりは物おじしなくなった。
■70歳前にTVデビュー
 テレビに初めて出たのは70歳手前。そういうのを嫌っていた母親が亡くなった頃、バラエティー番組のプロデューサーさんがお店でお茶買ってくれて。口説かれたのが始まり。今までに80回くらいテレビに出たかな。何を話そうか一晩考えたこともあるけど、それじゃダメ。本番で雰囲気が違うから。深く考えない方が自由にしゃべれる。無我夢中だから何しゃべったかなんて覚えてないし、出たテレビ番組は見ない。
 10分の予定だった撮影が3時間半に延びたり。そんなことばっかり。もう慣れたから疲れないね。芸人がたくさん来るけど、コンビの人気がないやつの方が庶民的でフィーリングが合う。大物は変なこと言わなくてさすがだと思うね。
■あふれる御利益!?
 テレビで人生相談受けたりするけど、俺はお客さんの言ってたことを横流ししてるだけ。出会った人の言葉を心にしまって、イマジネーション働かせて、それを他の人に言ってる。でも、人の悪口は言わないようにしてる。あとは褒めて褒めて褒め尽くす。みんな気持ち良いし、伸びるから。
 「チクショウ」「負けるもんか」が口癖。子どもの頃のコンプレックスが元気の源になってるのかもな。でもよ、知らない男の人が店の前で腰さすってたりするのよ。「あんたの御利益もらって腰痛を治す」って。みんなに力吸い取られて、俺、かつお節みたいに最後なくなっちゃうよ。あっはっは。
 俺は死ぬまで仕事する。仕事は人間形成だから。そうしないと、50回見合いして結婚した美人の女房に逃げられちゃうからよ。
 <profile>
 まさき・のぶえい 1941年、東京都生まれ。戦火を逃れるため、物心つく前に母親の故郷の熱海市に疎開。幼少時代を同市で過ごす。東洋大を卒業後に複数の仕事を経験。静岡市の茶工場での修業を経て、30歳の頃に母親から静岡茶専門店「茶千」を継いだ。現在は神奈川県湯河原町に住みながら、熱海市の店舗に毎日通って接客している。

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