聖火走者さあ本番 静岡県内22市町【五輪聖火リレー】

 新型コロナウイルス感染症の影響で延期された東京五輪の開幕まであと1カ月に迫る23日、静岡県内で聖火リレーが始まる。感染の収束はいまだ見通せず、浜松市では中心地の公道コースが回避された。22市町の51.6キロをつなぐランナーは25日までの3日間、複雑な思いを抱きながらもそれぞれの願いや希望を胸に駆け抜ける。

聖火リレーのコース付近で練習に励む高橋俊明さん。走りで諦めない心の大切さを伝えたいと願う=18日、袋井市のエコパスタジアム
聖火リレーのコース付近で練習に励む高橋俊明さん。走りで諦めない心の大切さを伝えたいと願う=18日、袋井市のエコパスタジアム

 「感染者数の増減に合わせ、気分も上下動の繰り返しだった」。袋井市の高橋俊明さん(52)は延期後の1年間をそう振り返る。
 高橋さんは地域で活躍する市民ランナー。県市町対抗駅伝競走大会では8年連続の補欠を経て、2018年の大会で同市の代表選手に返り咲いた。翌年に見つかった前立腺がんの手術後も変わらず練習を続ける。「中高生や若者に諦めない心を持ってほしい」。聖火を手に走ることで伝わると信じている。
 57年前の東京五輪の聖火リレーに思いをはせる走者もいる。下田市の鈴木克己さん(75)は前回大会が開かれた1964年当時、日大三島高の陸上部に所属。聖火ランナーとして三嶋大社から箱根方面へ約1・7キロを走った。
 「沿道の声援や興奮がすごかった。本番の緊張感は今も忘れられない」と懐かしむ。今回は全国各地で無観客や公道実施が見送られて「何のための聖火リレーなのか分からなくなる感じすらある」。それでも、ランナーとして少しでも地域や大会の盛り上がりに貢献したいと願う。
 島田市の高橋春華さん(25)は「明るく元気な姿を見てもらい、多くの人に感謝を伝えたい」と意気込む。5年前、仕事中の事故で右腕を肘下から切断。周囲からの視線を感じて「外出することさえ嫌だった」という日々を救ったのは、同じような障害者同士がつながる会員制交流サイト(SNS)だった。
 「偏見なく打ち解けてくれたおかげで、自然に前向きになれた。今度は自分が勇気や希望を届けられたら」。今も定期的に通院が必要で新型コロナの感染動向は気になるが、「障害の有無にかかわらず、平等で暮らしやすい社会になってほしい」と走りに思いを込める。
 (社会部・松岡雷太)

 ■静岡県内の出発地 新居関所跡 準備万端
 静岡県内で東京五輪聖火リレーが23日に湖西市からスタートするのを前に、出発地となる同市の新居関所跡では22日、関係者が会場設営を行い、本番への準備を整えた。
 新居関所史料館の閉館後、関係者は午後5時ごろから設営を開始。五輪マークが入ったボードや横断幕を並べ、ステージを設置した。湖西市の担当者は「ようやくここまで来た。スタートで勢いをつけ、無事に最後まで聖火が届いてほしい」と話した。
 聖火は宮城県から引き継ぎ、25日までの3日間で22市町25区間を計約280人でつなぐ。初日は湖西市を午前8時24分に出発後、浜松、磐田、袋井、掛川、島田市と東進し、静岡市葵区の駿府城公園を目指す。2日目は牧之原市をスタートし、藤枝市や三島市などを通って沼津市のプラサヴェルデへ。最終日は伊東市から始まり、下田市、御殿場市などを経て、富士宮市の富士山本宮浅間大社に到着する。
 (湖西支局・大沼雄大)

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