制服改革先駆けの藤枝・青島中 自由に選択、自分らしく 機能面や多様性に対応

 藤枝市の青島中が、スラックスやスカートなど複数のアイテムから自由に選べる「選択制の制服」を採用して3年目。県内の他の中学や高校でも女子用スラックスを追加するなど、制服に関する校則を見直す動きが広がっている。県内の先駆けとなった制服改革で、同校は何が変わったのか取材した。

ネクタイやベスト、スカート、スラックスなど、思い思いのアイテムを身に着けて過ごす生徒たち=藤枝市立青島中
ネクタイやベスト、スカート、スラックスなど、思い思いのアイテムを身に着けて過ごす生徒たち=藤枝市立青島中

 同校は2019年度の1年生入学時に新しい制服を採用した。ブレザー、スラックス、スカート、ネクタイ、リボン、カーディガン、ベストの7アイテムに、一般的な白シャツを組み合わせる。性別にかかわらず、その日の気候や都合に合わせて選ぶことができる。
 創立から70年以上続いたセーラー服と詰め襟は、寒暖差に応じた調整が難しかった。生徒が小学校でズボンを履き慣れていて制服のスカートに戸惑ったり、性差があらわな格好に抵抗を感じたりすることもあった。制服改革は機能面での解決と、生徒の多様性への対応を目指した。
 別の狙いもあった。教育目標の一つに掲げる「自立」を生徒に意識させることだ。改革前から同校に勤務する清田穂実教諭(27)は新制服の導入を機に、受け持ちの特別支援学級の生徒へ「自分で選んで決めること」の大切さを繰り返し伝えた。「今は全生徒が教育目標を自覚して行動している。大きな変化」と目を見張る。
 教員にとっても気付きがあった。清田教諭は「子供よりも大人の方が無意識に、性別などさまざまな先入観にとらわれがちだった」という。「生徒を個として大切に見ていきたい」と、気持ちを新たにした。「保護者や住民にも、その子らしさに目を向けるきっかけになるとうれしい」
 4月に着任した桜井誠校長(59)は「新制服は生徒が自信を持って自分らしく生きるためのツール」と位置付ける。前任の高洲中(同市)の制服はセーラー服と詰め襟だが、生徒の希望があれば19年度から、市販のスラックスと白シャツ、カーディガンを着用できるようにした。初めて、スカートではなくスラックス姿で登校した生徒と校門であいさつを交わした日のことを「目の輝きが違った。自分らしさを取り戻したかのようだった」と振り返る。
 スラックスを愛用する青島中3年の水沢紗良さん(14)は「周りの友達も親も女子はスカート、男子はスラックスが普通という感覚があった。だんだん、どちらでも良い文化ができて履きやすくなった」と受け止める。「卒業した先輩から『選べていいね』とうらやましがられる。私はスラックスがある高校に進学したい」と話した。
 
 ■さまざまなケース考慮
 浜松市に市立中の制服と校則の見直しを求めてきた浜松トランスジェンダー研究会の鈴木げん代表(46)は「男女別の制服によって、自分とは異なる性別を押し付けられていると感じる子もいる」と訴える。感覚過敏でスカートが肌に当たることが苦痛なケースなど「さまざまな子がいることを前提とした制服が広がってほしい」と願う。市教委によると、分校を除く市立中48校のうち46校がセーラー服と詰め襟。そのうち38校は現在、男女別の服装規定を設けていない。
 (社会部・伊豆田有希)
 

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