ファクトチェック 川勝氏と岩井氏の街頭演説検証【静岡県知事選】

 20日の知事選の投開票が近づき、4選を目指す現職の川勝平太氏(72)と新人の前参院議員岩井茂樹氏(53)=自民推薦=は熱のこもった論戦を繰り広げている。両氏の街頭演説における発言の正確性や妥当性について検証した。

川勝氏と岩井氏
川勝氏と岩井氏


 ■川勝氏の発言
 ワクチン接種が遅いと言われているが、静岡県は医療従事者が日本全体の中で10万人当たり少ない。ですから接種の割合が少ないのは当たり前。(3日、JR静岡駅前)
 【不正確】「人口10万人当たりの医師数」より実態に即した指標とされる医師偏在指標によると、静岡県は47都道府県中39位と医療従事者が全国的に少ないのは確か。14日現在のワクチン接種率(1回目、高齢者)は全国43位で、相関関係があるようにも見えるが、静岡県より指標が下回っている8県のうち、県より接種率が低いのは1県のみ。接種率はさまざまな要因があり、医療従事者が少ないから低いのが「当たり前」とは言い切れない。

 (岩井氏を指して)国策として進めるリニア推進議連の事務局長をしていた人が候補に出ている。(14日、東伊豆町)
 【不正確】岩井氏を「リニア推進派」とする根拠の一つとして同様の発言を繰り返しているが、正確ではない。岩井氏が務めていたのは自民党本部内の組織「超電導リニア鉄道に関する特別委員会」の事務局次長。同党はリニア中央新幹線整備を推進しているが、特別委は政策を議論する党内組織で、政策実現を目指す議連とは性格が異なる。

 ■岩井氏の発言
 国が緊急事態宣言発令区域外でも時短要請に応じた飲食店に1日4万円の協力金を出す制度を作ったが、川勝知事はまったく動かなかった。(12日、JR沼津駅前)
 【不正確】県は全県的に飲食店などへの時短要請を行っていないが、新型コロナウイルス特別措置法に基づく時短要請をこれまで2度実施している。昨年12月23日から2週間、富士市を対象に要請し、応じた飲食店には4万円の協力金を支給。先月19日には湖西市を対象に2週間の時短要請を行い、1日当たり2万5000~7万5000円、大企業は最大1日20万円の協力金の支給を決めた。「まったく動かなかった」というのは不正確な表現といえる。

 JR東海が大井川流域の住民に説明に来ていない。川勝知事が流域住民に説明に行くなとJRに言っているから。(16日、磐田市)
 【不正確】県と流域10市町、利水団体は2018年、大井川利水関係協議会を設立した。会の規約でJR東海との連絡、調整、交渉は県を通じて行うこととし、難波喬司副知事がJRに個別交渉を控えるよう文書で要請した。県に交渉窓口を一本化したのは県のみの判断ではなく、知事がJR東海の説明を止めているとの趣旨の発言は不正確といえる。

 ファクトチェック 政治家や公人の発言の信ぴょう性を検証する報道手法で、近年、国内で注目を集めている。根拠となる統計データや資料と突き合わせて、発言の正確性を確認する。選挙中の候補者の発言は有権者の投票判断の一つになると考え、今回、知事選担当記者が行った。

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