中小企業の資金繰り コロナ後の支援を注視【静岡県知事選 経済再生への選択③】

 「新型コロナウイルスの流行前から、景気失速の実感があった。本当にコロナだけが要因だろうか」

若手社員と言葉を交わす岩倉正雄社長(右)。回復期を見据えて社内改革を急いでいる=10日午前、島田市の岩倉溶接工業所
若手社員と言葉を交わす岩倉正雄社長(右)。回復期を見据えて社内改革を急いでいる=10日午前、島田市の岩倉溶接工業所

 板金・溶接を手掛ける岩倉溶接工業所(島田市)の岩倉正雄社長(73)は、回復基調とされる静岡県内景気の先行きに懐疑心を抱く。成長性に着眼して参入した航空機産業も、機体需要の低迷が続く。
 2020年7月期の売り上げは前年比で3割以上、減った。受注が細る中でも従業員25人の雇用維持は最大の使命だ。県などの資金繰り支援制度を使って実質無利子・無担保融資で資金を確保したが、その返済が始まる前に業績を回復軌道に乗せる必要がある。
 「コロナ禍の今は雌伏の時。技術力を磨き、生産性を高めていくしかない」と岩倉社長。販路開拓のための社内改革や、航空機産業の勉強会を開くなど社員教育に力を注ぎ、回復の好機をじっとうかがう。
 県信用保証協会が20年度に保証を承諾した中小企業への融資総額は、貸し渋り対策が本格化した1998年度以来、22年ぶりに1兆円を超えた。公的な支援策で当面の運転資金は行き渡ったが、景気回復が遅れるほど返済能力への懸念は高まる。
 岩倉社長は、高い技術を持ちながら廃業を検討する同業の仲間たちの存在も気がかりだ。県の補助事業は、新事業への参入など新たな挑戦を後押しするメニューが目立つ。「新しい事業を見つけるのは大変なこと。資金繰りが厳しい中、挑戦できる企業ばかりじゃない」
 中小メーカー経営者の間では、未来に向けた投資促進と同様に、現況をしのぐための本業支援に力を入れてほしいとの思いが高まる。業績回復が遅れている中小・零細企業の多くは、近い将来の資金繰りが行き詰まりかねない瀬戸際に立たされている。

いい茶0
メールマガジンを受信する >