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特集 : こち女

静岡の暮らし、どうですか? 県政の課題は…【こち女×知事選/LINEモニタリング】

 20日の投開票に向け、現職新人の舌戦が熱を帯びる静岡知事選。静岡新聞の「こち女(こちら女性編集室)」が告示前に実施した暮らしの満足度を尋ねる読者アンケートの結果から、暮らしをよりよくするために、県に取り組みが求められる課題を探ります。

静岡での暮らしに満足しているか
静岡での暮らしに満足しているか
静岡県の暮らしやすさを100点満点で評価すると
静岡県の暮らしやすさを100点満点で評価すると
知事選の投票に行くか
知事選の投票に行くか
静岡での暮らしに満足しているか
静岡県の暮らしやすさを100点満点で評価すると
知事選の投票に行くか

 (西條朋子)

 アンケートは5月26日から30日までの5日間、ネット上で実施し、10代から60代の男女67人(女性63人、男性4人)の協力を得た。

 静岡の暮らしに満足しているかとの問いでは、全体の半数超が「どちらかといえば満足している」と答えた。「満足している」を合わせて8割を超えた。満足度の100点満点評価は80点が最多で3割。70点以上を付けた人が8割を占めた。
 満足の理由は「富士山に見守られ、空気がきれいで水もおいしい」=沼津市の書店パート女性(60)=や「海も山もあり、食材が豊富。キャンプ好き家族には最高」=焼津市の自営業女性(44)=など自然や食の豊かさを挙げた人が目立った。温暖な気候や大都市へのアクセスの良さも挙がった。
 一方、満足の程度を「まあまあ」「そこそこ」と表現する人も多く、伊豆の国市に移住した自営業の女性(39)は「すごく住みやすいのに、地元の人の自己肯定感が低く、『こんな田舎になぜ』と言われる。移住促進には住民が誇りを持つことも大事では」と指摘した。
 
 ■コロナ禍で運動不足
 健康的な生活ができているかとの問いには、車中心の生活や、新型コロナウイルス禍の影響で運動不足を感じているという人が多数。特に子育て世代で健康を気遣う余裕がないとの訴えが目立ち、浜松市中区の理学療法士の女性(32)は「託児付きのスポーツジムを増やすための支援など、健康づくり支援を検討してほしい」と提案した。
 誰もがスポーツや文化をもっと気軽に楽しめる環境を望む声は高く、「働いていても子どもにスポーツをさせられる環境を」「野球やサッカーなどの競技を年齢問わず楽しめる場所がほしい」などの希望もあった。
 コロナ禍の生活への影響については、子どもに言及する声が多く、静岡市駿河区の事務職女性(40)は「嫌がるマスクをさせるのがかわいそう。のびのびできない子どもたちに今後どんな影響が出るか」と懸念した。
 
 ■2人目以降の出産 迷い
 安心して子どもを産めるかとの問いには、経済状況や職場の無理解などを理由に、2人目、3人目をもうけるのをためらうという声が。浜松市中区の公的機関勤務の女性(30)は「産みたくても産めない女性への支援が必要。男性の知識不足や無関心に焦点を当てた施策を」と望んだ。
 流産経験のある浜松市東区の講師(46)は「病院や行政から何のサポートもなく、鬱[うつ]を発症して、実際に子どもを持てるまで数年かかった。少子化対策としても流産死産に見舞われた人を支援すべき」と訴えた。
 子育て環境については、待機児童が解消傾向にある中でも「第2子を確実に希望の保育園に入れるため、育休1年未満で復帰した。本当はもう少し休みたかった」=静岡市駿河区の会社員女性(36)=という人もいた。小学生を預かる放課後児童クラブについて、土日に預けにくい環境の改善や保育の質の向上を求める声もあった。
 
 ■路線バス 縮小に不満
 交通環境への意見では地域を問わず路線バスの縮小に不満の声が。静岡市駿河区の契約社員女性(58)は「路線、本数を検討して利便性向上を」と求めた。車がないと生活が成り立たないという指摘とともに、運転できなくなった後の不安を訴える人も多かった。
 地域生活について、晩婚化や離婚の増加などで世帯構成が多様化する中、「夫婦や子どものいる家庭は地域になじみやすいが、そこから外れると接点がない」=静岡市葵区の臨床検査技師女性(45)=と感じている人もいた。
 
 ■男女の不平等感 根強く
 回答の随所に、男女格差や固定的な性別役割分担についての女性側の不満が現れた。静岡市清水区の会社員(46)は「職場で女性社員は自分だけで、成果を上げているのに、賃金は男性社員に比べて低くやりがいがない」とつづった。同市駿河区の事務職(40)も「職場に昔からの慣習が残り、女性が我慢して尽くす場面が多い」と訴えた。
 育児や家庭生活の場面でも「いわゆるワンオペ状態。仕事も家事も育児も全部は無理」などとつらさを抱える人や、「子どもの急な休みに仕事を休むのは決まって母親。母親も無理して休んでいるのに」と疑問を呈す人もいた。
 
 ■コロナ後の姿、明確に 田中啓・静岡文化芸術大教授
 回答から見える静岡県民の生活感覚や、県が目指すべき施策の方向性とは。静岡文化芸術大の田中啓教授(地方行政論)に聞いた。

 ―生活の満足度は高い一方で、『どちらかといえば』という消極的評価が多い。
 「雪深い福井県出身の自分にとって、気候の温暖な静岡県は昔からの憧れだった。財政的にも小さな自治体を含めて他の地方よりずっと恵まれている。ただ、その良さが十分自覚されていない面はあるのかもしれない」
 ―公共交通の不便さを欠点と感じている人がいた。
 「世界の潮流と言えるSDGs(持続可能な開発目標)の観点からも、車ばかりに依存してはいられない。現実的な対策はバス路線の維持だが、交通施策としてだけ見れば利用者の少ない路線は廃止になってしまう。高齢者の生活を支える福祉施策と再定義し、柔軟に維持を考えることが重要では」
 ―スポーツ環境について充実を求める声が多い。
 「現代では運動するのにお金と時間が必要で、多くの人にその余裕がない。新しい施設整備は難しい時代だが、運動をする機会の提供はできる。体の健康と心の健康は両輪で、コロナ禍でストレスをためる人が増える中、体の健康を支える意味はますます大きいだろう」
 ―特に手厚くすべき施策は。
 「コロナ禍の今こそ、という施策を望みたい。これまで進学や就職を機に県外へ流出していた若い人が、地元を選択する可能性は高まっている。こうした層への思い切った支援策は有効では。流行が収束しても以前の生活には戻らないことを踏まえ、新しい県の姿を明確に示す時だ」
 ―新型コロナのまん延で各知事に注目が集まった。
 「知事の対応力や発信力によってコロナ対応に差が付き、力のある知事は、県のプレゼンス(存在感)を高めるという認識が広まった。リニア問題が注目されるが、県の課題は幅広い。最重要課題と言える防災を含め、政策本位の議論と強いリーダーシップを期待したい」
 
 たなか・ひらき 行政評価の検証、人口減少時代の行政のあり方などを研究。地方自治体の行政改革に関する委員などを歴任する。

いい茶0

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