テーマ : 福祉・介護

聴覚障害者、ワクチン予約困難 予診票難解、ファクス使用不可…

 高齢者に対する新型コロナウイルスワクチンの予約や接種が静岡県内でも進む中、聴覚障害者が困難な状況に直面している。手話を言語にコミュニケーションを取る人の中には、接種券や予診票などの難しい内容を正しく理解することが困難な人もいる。連絡手段として使い慣れたファクスでの予約を制限する自治体も少なくない。当事者らは勉強会などを通じてワクチンの情報を得つつ、行政にも改善を求めている。

聴覚障害者に向けた新型コロナワクチンの説明会。専任手話通訳者(右)が接種の流れなどを紹介した=5日、静岡市清水区
聴覚障害者に向けた新型コロナワクチンの説明会。専任手話通訳者(右)が接種の流れなどを紹介した=5日、静岡市清水区

 「インフルエンザの予防接種と何が違うのか」「副反応があると聞くが、目の持病があるから心配」―。
 5日、静岡市ろうあ協会(大村圭男会長)が清水区で開いた説明会。集まった約30人の会員たちは、接種までの流れや書類の記入例などを紹介する市の専任手話通訳者の解説に何度もうなずきながら、互いの体験や疑問を語り合って理解を深めていた。
 同区に1人で暮らす堀弘子さん(78)は市役所の助けで1回目の接種を済ませた経験を伝えた。「情報が分からず、接種券が本当に送られて来るのか不安だった。届いても文章が難しくて、予約方法を理解できなかった」と振り返る。
 説明会を企画した理由の一つは、市の予約方法が電話かウェブに限られ、聴覚障害者に最も身近なファクスが利用できないためだ。大村会長によると、多くの会員の希望を受けファクスでの対応を市に要請したものの、接種の場所や日時の調整でやりとりが煩雑になることなどを理由に実現していないという。
 同協会は今後、予約ができない聴覚障害者に向けて、ウェブの手続きを支援する取り組みを始める。志田啓樹青年部長は「インターネットが使えない(聴覚障害者の)若者もいる。できる限りサポートしていきたい」と強調する。
 浜松市も「業務多忙で対応できていない」(担当部局)として、静岡市と同様にファクスによるワクチン予約を受け付けていない。浜松ろうあ協会(藤森秀一会長)は、市に配慮を求める要望書を提出。集団接種会場での手話通訳者や要約筆記者の配置など情報保障の対策も求めている。
 (社会部・松岡雷太)

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