不妊のリアル、漫画で知って 静岡市のイラストレーター駒井千紘さん アプリ「comico」で連載

 5組に1組の夫婦が不妊に関する検査や治療を受けているとされる現代―。デリケートな上、深刻になりがちなテーマを、静岡市葵区のイラストレーター駒井千紘さん(36)は、漫画アプリで連載中の「妊活夫婦」で、基礎知識にコメディー要素を織り交ぜて描く。自身も不妊治療で長男を授かった。「不妊にまつわる誤解や偏見を無くしたい」と思いを語る。

駒井千紘さん
駒井千紘さん
「妊活夫婦」より(c)駒井千紘/comico
「妊活夫婦」より(c)駒井千紘/comico
「妊活夫婦」より(c)駒井千紘/comico
「妊活夫婦」より(c)駒井千紘/comico
駒井千紘さん
「妊活夫婦」より(c)駒井千紘/comico
「妊活夫婦」より(c)駒井千紘/comico

 漫画は、フルタイムで働きながら不妊治療を受ける主人公が、治療に協力的でない夫とぶつかりつつ、さまざまな困難に直面するストーリー。2017年に連載を開始すると、リアルな描写が人気を集め、妊活雑誌などで取り上げられた。
 駒井さんは28歳の時、結婚と同時にタイミング法を開始した。その後、主に夫側に不妊原因があることが分かり、顕微授精に切り替えて妊活開始から約2年後に妊娠した。子宮の状態や体質、男性側の要因など不妊の問題に性別や年齢は関係ないことを身をもって知った。
 連載当初は、「適齢期を逃した個人の問題」「なぜ税金を使って費用助成するのか」などのコメントがあったという。こうした意見に「表だって語られにくいため現状が知られていない」と痛感した。以前連載したアラサー(30歳前後)向け漫画の一部で不妊治療に触れたところ、同世代の読者から悩みを多く寄せられたこともある。
 「高齢になれば不妊のリスクが高まるのは確か。でも若い時に妊娠、出産がしにくい社会背景があり、妊活のために不安定な働き方をすれば“戦力外”と見なされがち」。漫画はさまざまな立場の人を登場させ、男性の育休、出生前診断、産後うつなど多角的に展開。あらゆる世代に関心を持ってもらうことを意識している。
 不妊治療を巡っては高額な治療費の負担軽減策として、政府は来年度からの保険適用の拡大を打ち出した。駒井さんはこうした動きを歓迎しつつ、「そもそもの生殖の知識を深めるべき」と性教育の重要性も指摘する。
 「妊活夫婦」は漫画アプリ「comico」で連載中。20話まで無料で見ることができる。
 (文化生活部・鈴木明芽)
 
 <メモ>不妊治療は、妊娠しやすい時期を捉える「タイミング法」のほか、女性の体内に精子を入れて卵子との受精を試みる「人工授精」、体内から取り出した卵子と精子を受精させる「体外受精」「顕微授精」などがある。日本産科婦人科学会によると、2018年の体外受精件数は45万件超。約5万7000人が誕生し、この年に生まれた子の約16人に1人の割合という。
 頻繁な通院による治療と仕事の両立や治療の長期化など女性が抱える負担は大きい。国立成育医療研究センターの調査では、体外受精などを受けている女性の半数以上が軽度以上の抑うつ症状を抱えていることが分かった。特に、20代でメンタルヘルスの不調や生活の質の低下が目立った。
 
 こまい・ちひろ 静岡高、早稲田大卒。バンダイを退社後、イラストレーターに。子供向けテレビ番組や雑誌のイラストも手掛ける。カナダ人の夫との間に、不妊治療で授かった長男と自然妊娠で生まれた次男がいる。

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