社説(5月31日) 就活面接「解禁」 Uターン増へ手尽くせ

 2022年春卒業予定の大学生らの就職活動は、政府主導の日程ルールの下で6月1日、面接など選考が解禁になる。新型コロナウイルス感染拡大の中の就活・新卒採用は2年目。この間、情報通信技術(ICT)を活用した会社説明会やウェブ面接が一気に広がった。
 就活ルールは形骸化が指摘されて久しく、今年も選考は既に本番入りしている。学生優位の「売り手市場」は陰りがみられるものの企業側の採用意欲は底堅く、早期化傾向は続いている。
 オンライン就活は、交通費や移動時間の負担減という面で学生に歓迎されている。地方企業は潮目の変化を逃さず、U・Iターン就職の応募者増、人材確保へ手を尽くすべきだ。
 一方、就活生の中には急速なデジタル化に戸惑ったり、ネット情報に振り回されたりする学生もいる。企業は情報公開に努め、出遅れ感をもつ学生にチャレンジの機会を与えてほしい。大学側には親身な支援が欠かせない。
 就職情報会社ディスコの調査によると、5月1日時点で学生モニターの6割が内定を得ていて、前年同期を約8ポイント上回った。ただ、就職先を決めて活動終了した学生は2割にとどまった。
 9割超がオンライン説明会、ウェブ面接を経験したと答えたが、対面機会へのニーズは高く、入社の意思決定には社員やほかの内定者との交流の場が必要とした学生は7割を超えた。内定辞退やミスマッチによる早期退職を防ぐためにも、企業にはデジタルと対面を組み合わせた新たな「採用力」が求められる。
 学生の意識の変化にも留意する必要がある。文部科学省の調査によると、20年度後期の授業の8割以上がリモートだった学生は6割に上った。地方企業にとって、実家でオンライン授業を受けている学生に目を向けてもらう好機にもなる。
 静岡県から首都圏へ進学した学生の新卒Uターン就職率はコロナ前に30%台だったと推計されている。一因に県内企業の発信力不足も挙げられよう。
 本県は「30歳になったら静岡県!」をキャッチフレーズに、18年度から社会人のU・Iターン促進事業を進めている。コロナ下でテレワークや移住への関心が高まった20年度は、県外在住者と県内企業をつなぐオンライン説明会を開催した。本年度は回数を増やす。情報発信先を就活生や大学1~3年生にも広げてみてはどうか。
 新卒採用、社会人採用を問わず、若者のU・Iターン促進に効果的な情報発信は不可欠である。企業誘致、起業奨励と車の両輪で進める必要がある。

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