静岡県知事選 川勝氏/岩井氏 じっくり2時間政策対談 コロナ対策、リニア問題…(書き起こし)

 静岡新聞社は5月26日、静岡県知事選(6月3日告示、20日投開票)への立候補を表明している現職川勝平太氏(72)と元参院議員の岩井茂樹氏(52)の政策対談を静岡市駿河区の静岡 新聞放送会館で開いた。新型コロナウイルス対策やリニア工事と大井川水問題への対応、経済政策などをテーマに約2時間、それぞれに意見を述べた。発言の詳細(書き起こし、一部省略・要約)は次の通り。(未来戦略チーム・尾原崇也、石岡美来)

川勝平太氏と岩井茂樹氏
川勝平太氏と岩井茂樹氏
川勝平太氏
川勝平太氏
岩井茂樹氏
岩井茂樹氏
川勝平太氏と岩井茂樹氏
川勝平太氏
岩井茂樹氏


 ◇新型コロナウイルス対策
 ―新型コロナウイルス感染症は第4波が到来し、従来と比べて感染力が強い変異ウイルスが猛威を振るっている。知事のリーダーシップが問われている。知事が果たしていく責任をどう考えているか。

 川勝氏 感染症は、2本の柱から対応しなければいけない。検査。これは入り口。もう一つはワクチン。これは出口。この二つが極めて重要。検査態勢を充実させる。PCR検査や抗原定量検査。自らが自己診断するとき、昔は体温計で1分かかったが、今はわずか数秒でできる。専門機関における検査、自らの検査もしなければいけない。もう一つはイギリス株、最近ではインド株など変異株への対応。日本としては検査態勢をもっと充実させないといけないが、国の方に言ってもなかなか、らちが明かないところがあって、藤枝市の県環境衛生化学研究所と三島市にある国立遺伝学研究所、これらを通して、静岡県内に国立の感染症医療機関に匹敵するような感染症病院を持っていることが必要。今の病院を犠牲にしなくて済む。
 それから出口。昨年4月から一貫して言い続けているが、(全国の)知事さんは、経済対策のお金がほしいとか、(知事の)権限をもう少し強くしてとかそういう話。私は一貫して、ワクチンを自分で作らないとだめだと(主張してきた)。危機管理の観点から。変異株というのは、日本株という形で出てくるとも限らない。国産のワクチンにするために、だいたい1千億円くらいかかる。失敗もあるから、1兆円くらい(基金を)積んで、取り崩し型でいいからつくってくれと。それに首相が気付いたのが今年になって2月か3月ごろ。ようやく危機管理の観点からも重要だと気付いた。国防は、防衛と防災と防疫からなる。こういう基本が十分に入っていないんじゃないかという危惧がある。しかし、今は輸入品に頼らないといけない。なるべく早くワクチンを円滑に効率的に打つ。出口の唯一のもの。モデルナ、アストラゼネカも入ってくる。二つ別々に打つわけにはいかない。(接種事業を)混乱なくやる。これが今われわれができること。

 岩井氏 すぐこの前まで国政に携わっていた。自民党のコロナ対策本部。国交副大臣の前だったが。さまざまな党内でのコロナ対策携わった。今、緊急事態宣言等について、知事の権限の話があった。まさに私が思ったのは、特に相手がコロナ、正体不明の敵ということで、国としては、スピーディーで的確な判断をするというのは現場に近い意見を聞くのが必要。Go Toトラベルに関わったが、その判断にしても知事なり自治体の意見をまず尊重しているということがあった。ほかにも、コロナ対策を打つにあたって、地方創生臨時交付金とかさまざまな支援策があるが、国が直接的にすべての自治体に同じスキームでやるというのは特にコロナ禍の中では国には無理があると。自治体にまさに任されている。使い方も含めて。緊急事態における地方自治体の重要性を改めて今認識しているところ。そのうえで、変異株等の話があるが、変異株等についてはワクチンが有効であると。今までの感染症対策をより強固にやっていくことが必要だと思う。まずはワクチン対応いかに早くできるか。まずはマンパワー、医療資源、マンパワーが足りていないということ。例えばお医者さんだとか注射器の話もそうかもしれないが、医療資源をはじめとするマンパワーを相対的に増やすという努力をしなければならない。同時に今あるものを平準化していくという考え方も重要ではないか。例えば近隣の自治体との連携、県内の医療機関での情報共有。そういうことをやることによって、限られた資源をより的確に反映させていくことが重要。ワクチン接種にあたって国は7月に高齢者接種完了目標を立てた。静岡県には地域性があるので、地域のいろいろな状況を踏まえて、県が「黒子」になって一番最前線でやっているのは市町の下支えをすることを重点的に考えている。そしてあと一つ。国がやりたい政策があって、それが県に降りてきたときにどうしても国だと至らないところがあると私は思う。その穴埋めをするのが県の立場であると同時に、県ができないことは市町と連携をとらせていただいて進める。市町ができないことは民間のノウハウ、アイデアをしっかり生かして県民全体で臨んでいく姿勢が大事。

 ―政府は65歳以上の高齢者へのワクチン接種を7月末までに完了する方針を示した。静岡県内でも接種が本格的に始まったが、ワクチン接種を円滑に進めるために、県はどんな役割を果たしていくべきか。

 川勝氏 まず、7月末に65歳以上の高齢者の接種を終えなさいということが突然出てきた。当然、現場に大混乱を起こした。まずは医者から。それから高齢者。静岡県は地域差がある。必ずしも医者(の数)が十分でないところもある。大混乱。しかし、菅総理がともかく至上命令だと言われた。私どもは、市町の現状を知っていた。3分の2以上の市町は8月以降にずれ込むという現状だった。しかし、(国から)こういう指令が出た。健康福祉部と市町で調整したが、なかなからちがあかないということで、現状を共有することが大事と言うことで、私はウェブ会議をすべての市町の首長とやった。それで実情が分かり、県に要請している中身も明確になった。それぞれの市町がやっている事柄で学ぶべきこともあった。共通ででてきたのは、65歳以上といってもたくさんいる。どういう順番でやっていくのか、集団でやるのか。まずは、県として集団接種会場というのがほしいと。場所を県内東、中、西に。副作用の問題もある。アナフィラキシーショックなどがあった場合どうなるか。接種した後、15分から20分ほど待つ。そのときに全市町の接種会場で動画を配信して。こういうことだから、心配しなくていいと(伝えている)。医者が足りない。ディーマット(DMAT=災害派遣医療チーム)というのがあるが、それと同じようにワクチンチームをつくる。ワクチンチームをつくるといっても、医者は通常の業務をしているので、仕事を止めていかなくちゃいけないことがあるから、全国知事会を通じて、政府に休業補償は必ずしてくれと申し上げた。集団接種会場、ワクチンチーム、休業補償。もし患者が増えたら、実際の治療に当たる。治った人が行くところ、自宅療養。病床確保すること。目下のところは、静岡県全体では足りているが、いつ何時変異株が起こるか分からない。それを念頭に置きながら、7月末までに(市町と)一緒に協力して接種を終えられるようにと。一両日の間に、だいたい35市町すべてで接種ができるということになった。これは、私どもが35市町の現状を聞いて、それに対応してやったからできるようになった。ただし、64歳以下の人については、まったく指針もないので、自分たちで考えないといけない。何がふってくるか分からない。言ってみれば場当たり的だったりする。意見を聞くべきは、本当の専門家の意見を聞かなければいけない。今の(政府の新型コロナウイルス感染症対策)分科会の会長が言われているのは、本当に科学的な専門的な意見かどうか、疑念がある。現場は混乱している。ワクチンにどう対処したらいいか。文字通りノーベル賞級の先生方がたくさんいる。それも裾野が広い。そういう人が十分に政府に活用された形跡が見えない。日本として、科学技術立国として、あるいはノーベル医学生理学賞をたくさんとっているわけで。山中(伸弥)先生、本庶(佑)先生。専門家はたくさんいる。その方たちの意見が十分に活用されているとは言いがたい。これが結果的に、感染が収まったから経済政策だ、また感染が増えた、これが繰り返されてきた。基本的に、専門家の意見を聞くという体制を持たなかった。そして、全国知事会も、権限をくれということと、いかにお金をぶんどるかということ(ばかり)。悪く言えば。こういう形でずっと推移してきて。昨年の暮れも、私は、これが全国知事会の、国を思う人たちかと。全体の根本的な解決について、なかなか共通の提言がされていない。この現状が今日の混乱を招いたと考えている。

 岩井氏 政府がとにかくワクチンを行きわたらせるのが最重要課題だということで7月下旬の目標値を設定した。一つの問題が、国が考えたことを下におろした時に現場が混乱しないかが重要。コロナ禍をはじめとする緊急事態の一番重要なポイントは連携だと思う。コミュニケーション、共有。そういう中で、国の施策がうまく地元で回るかが重要。今回、7月下旬と一応ターゲットを決めた。静岡県下、先ほど足並みがそろっていないという話。前提条件として、ある自治体からは医療従事者が確保できれば、実現できるという話もあったり。一番重要なのは、ワクチン接種が普段の医療状況に影響を与えないか。友人で医師がいるが、今がん検診受ける人少なくなっていると聞いた。おそらくこの後に、検診ができないことでがんの早期発見ができなくて、救える命も救えなくなるのではという話。そのような現場サイドの目線を持ちながら、民間企業の活力も生かしながら。回復期の患者さんは、民間病院に回していただくなど平準化という観点から協力していただくなどして医療崩壊を防ぐということもできると思う。

 ―コロナは医療体制の脆弱(ぜいじゃく)性、欠点を浮き彫りにした面もあると思う。これからの医療のあり方をどう考えるか。

 川勝氏 感染症は、インフルエンザ、天然痘とかコレラとか、これまで人類は克服してきた。しかし、ウイルスはいつ起こるか分からない。国防という基本的な考え方を持った方がいい。国防は今までは防衛と防災だった。最後のとりでが自衛隊だが、基本的に、自治体レベルでは防衛というのは横に置いて、防災をやっていた。感染症対応の専門の病院をつくらなくちゃいけない。静岡県は医者の数が少ない。47都道府県の中でもびりっけつに近かったが、今は40位くらいに上がってきた。「ふじのくにバーチャルメディカルカレッジ」というのをつくって、医学生に奨学金を6年間差し上げて、9年間こちらで仕事していただく。本庶佑先生の協力をたまわったので、本庶さんの講義を聴けると言うことで優秀な学生さんがお越しくださった。今定員が120人。522人くらい昨年の4月段階で働いている。結婚適齢期。こちらでお医者さんと看護師さんとか結婚して(永住する)。そういうことも考えてやっている。とにかく医者を増やすことがいかに大切かということが分かってもらえたかと思う。静岡県で、大学卒業した後はこちらで医療に従事してくださいと。複数の医科大学と連携し、医療の充実を図っている。ただ、量をたくさんにしても、地域偏差がある。産婦人科、小児科とか、少ない診療科もあるが、まずは量を増やして、それから地域における偏りをなくしていくと。これが私の基本戦略。着実に奏功している。
 それが突然のワクチン接種で、人口当たりの医師数の少なさ(が影響している)。この方たちが無理をして倒れたら元も子もない。知恵としては一気に打つ、75歳以上を先にするとか、いくつかの知恵が出てきている。それぞれの地域にそれぞれの工夫がある。8月以降は64歳以下の人に、円滑に、かつ効率的に打てるように。モデルナ(製ワクチン)が使えるかもしれない。使わなければいけないかもしれない。ファイザー(製ワクチン)を打った人がモデルナを打てないので、そういうことも勘案しながら、同じワクチンを2回打てるようにしなければならない。国の指針はうまくまとまらない。こういう状況が続いている。自立をしながら医療体制を持ってかなければいけないと思っている。

 岩井氏 コロナ禍は日本のみならず世界に苦しみを与えた。コロナは日頃からわれわれが抱えるさまざまな問題をあぶりだした。ひとつは東京一極集中。コロナの中で東京から転出超過が何カ月か続いた。静岡県は移住したい県ナンバーワンに。そういう転換点をしっかり捉えてコロナ禍の向こう、中長期的なビジョンを示して熟考していくことが大事。残念ながら静岡県は10万人当たりの医療従事者40位くらい。なぜ静岡が。新幹線も通り、高速道路も2本走り、海もあり山もあり。県内の(医師)偏在がある中でどうやってそれを是正していくかというのはまさにコロナ禍でより考えなければいけない。コロナ禍の向こう側を考えなければならない。コロナ禍の後は、おそらく豪雨災害、南海トラフのような地震対策が重要になる。緊急事態ということは同じで、県として責任をもって対応を考える。その中で緊急時は受け皿として、例えば今であればワクチン接種の会場となりうるような受け皿を準備しておくことが需要だと思っている。ただ、緊急時と常時は使い方が違っていいと思っていて。通常時は医師や看護師の訓練の場として使って、静岡県で働くスキームを作っていく。同時に、もし有事となればそういう方々がそこの施設で仕事ができる。育成センターというようなものが必要。もう一つ重要なのが、マインドの話。先ほどの友人の医師から聞いたが、一昨年の日本外科学会に新規入会した静岡県の医師は数名だったと。広大な土地を有して多くの県民の命を守るために、長期的な、静岡出身で、将来静岡のために働きたいと考える地元愛のあるお医者さんをそのようなセンターで、技術的な面のみならず、静岡愛を持った医師を増やしていく、育成が大切。いろいろな地域の医師と話した。特に若い医師が地元になかなか帰らないと。地元に戻ると、技術の向上ができないと。であれば、地域に戻っていただいてしっかりと働いていただくが、今言ったようなセンターで最新の医療技術を学べる、そういう風にしていけたら地元愛を持った医師が育つのではないか。

 ―東京五輪・パラリンピックについて、現在の感染状況を鑑みて、開催の是非についての考えは。

 川勝氏 きのう(5月25日)、岩井さんと公開討論会があった。それで司会者の人が、コロナ禍の中で静岡県で五輪・パラリンピック開催をするのに賛成か、反対か聴衆に聞いた。日本(全体で)は反対の方が多いが、バツはほとんどいなかった。ほとんどマル。どういうことかというと、本県では自転車競技が4、3種目あるが、やることを前提にして着々と準備している。しかし、オリンピックをやることを目的にするのではなくて、サイクリングの文化を静岡県に根付かせる(のが目的)。考え方は、ラグビーワールドカップと全く一緒。ラグビー文化を静岡県に根付かせる。サッカー文化、野球文化のように。(地域自立のための「人づくり・学校づくり」)実践委員会があって、そこでたまたま清宮(克幸=日本ラグビー協会副会長)君が入っていて。教則本をお配りなさいと。本物を見せるのではなくて、まずはルールを知らせると。それがあっという間に広がり、子どもたちが、ルールが分かるから試合を見て、歓声を上げる。拍手をする。後に(エコパスタジアムで日本代表が強敵アイルランドに勝つ)『静岡の奇跡』が起こり、観客が素晴らしかったと会長が言っていた。今コロナだが、テストマッチが6月に予定されている。あそこにラグビー文化が定着しつつある。つまり、レガシーが生きつつある。それと同じようにサイクリングの文化をつくる。成功不成功、開催非開催などとは別に、伊豆半島や東部から、プロチームもすでに二つできた。チームは、子どもたち、あるいは地元の人たちに一緒にいろいろなことをやっている。われわれもサイクリングルートをつくったり、サイクリングのコースを紹介したりしている。ナショナルサイクルルートとして、太平洋岸の1400~1500キロあるそうだが、3分の1は静岡県。それはおそらく認定されるだろう。富士山1週とか、その他もろもろ提供してやっている。着々とやっているので、静岡県は、(五輪開催)1年前のイベント、他県はやらないがやった。そういうことをやって、(橋本聖子)大臣閣下(※当時)も来られて、視察された。本当によくやっていると。たくさん報道されて、静岡では選手のみなさんが来られても、確実に安全で安心して、観客もあるいは地元の人も笑顔でおもてなししようということになっている。これが浸透しているから、オリパラはできると。開催できるならそのままやったらいいじゃないかと思っている。
 補足させていただくと、オリンピックはオリンピック憲章に基づいて行われる。根本原則があり、スポーツと文化と教育を融合させる。人間としては肉体と意志、知性、品行ある形で人間を養成する。したがって、静岡県はすでにオリンピックを始めている。スポーツの大会は7月23日から始まるが、カルチュラル・オリンピアード。ロンドンの2012年で、4年かけてやり大成功した。全国知事会で、私どもが提案し、北海道から沖縄まで全国でできるということで、全会一致で賛成された。ナショナルプログラム。地域密着型のプログラム。われわれはやっている。実際は文化プログラムと称しているが、2千いくつかな、3桁、4桁のプログラムが進行している。そういう意味では、静岡県はカルチュラル・オリンピアードは地に着いている。(清水文化会館)マリナートで(東京五輪・パラリンピックに向けた文化プログラムを)やったときはチケット完売。宣伝をやめたくらい。オリンピック精神にのっとった形でしっかりとやってきた。これは静岡県の誇りとするところ。
 もう一つだけいうと、一度、モスクワ五輪の時にカーターさん(当時の米大統領)がソ連に行くなと言った。私はそのときイギリスに留学していたが、イギリスはアメリカと同盟国だから同調した。しかし、個人で行くのは勝手だと。個人としては行った。しかし、日本は行かなかった。マラソンの瀬古(利彦)選手は出場していれば、金メダルを取っただろうが、行かなかった。私はそういう意味では、オリンピアンの方たちの思いをかなえて差し上げたいという非常に強い気持ちがある。

 岩井氏 まず、変異株の話があって、県民の皆さんが本当に真面目な県民性の中で感染拡大がある程度抑えられている。やはり変異株ということで心配な気持ちもよく分かる。同時に、私も水泳で一時オリンピックを目指したことがある。行けなかったが。アスリートとしての気持ちを考えると、オリンピック目指してやってきたという思いもよくわかる。世論と自分の思いの板挟みで苦しんでいる話も聞く。そこも何とか応えたいと思うのが一つ。同時に、プレの大会でテレビでアスリートの活躍を見て大変うれしくなった。もし感染拡大が抑えられた状態でオリンピックができるならば、今多くの国民がつらい中で、多くの国民が気持ちを変えられると期待する面もある。ただ一方で、海外から人が来るならば、水際対策をしっかりやってほしいと強く国に訴えたい。先ほど医療偏在の話もしたが、東部で自転車競技が開催される。その東部が実は静岡県の中で医療が弱いというのは私もよく知っている。その中でオリンピックを開催することによって、医療逼迫(ひっぱく)というか地域医療に悪い影響を与えないような配慮をどれだけ県内でできるか。そのためには県内の連携が必要だし、場合によれば近隣の県との連携。そういうことをしっかりとやったうえでの開催。もしやるのであれば、静岡県人のホスピタリティーをしっかりと発信したいし、富士山があって観光資源もある、おいしいものもたくさんあるということを最大限に世界に発信したい。

 ◇リニア中央新幹線問題
 ―リニア中央新幹線静岡工区を巡り、JR東海の環境対策を検証する国土交通省有識者会議をどう評価するか。

 川勝氏 有識者会議が開かれた経緯は、静岡県では中央新幹線対策本部があり、JR東海と相談して、保全連絡会議をもっていて、その中で、中央新幹線が持つ影響というのを、専門的にJR東海から聞いてきた。地質専門委員会、水資源専門委員会、生態系専門員会をつくって、そこでやりとりして、そこで出てきた問題点をJR東海にぶつけた。回答があったが、不十分だった。これをみていた国交省が有識者会議を提案した。大変ありがたい。ついては、五つの約束を守ってくださいと。全面公開。47項目。流量、水質、生態系、残土置き場、監視態勢、将来の保障うんぬん。議論されていないので、ぜひ詰めてくださいということで始まった。11回やったが、全部鉄道局は全面公開しない。議事録もない。9、10、11回で中間取りまとめを流量に関してのみやると。9回目、10回目が終わった後、鉄道局長と技術審議官が(中間取りまとめの)中身を説明しにこられた。これで住民に説明して理解を得られたと言うから、流域の10市町の首長が怒ってしまって。説明を聞いたけど、納得したわけではない、と。住民の理解を得るのは、国交省も環境省も大臣が不可欠の前提条件といっているが、当たり前のこと。11回目の有識者会議で、中間取りまとめ案が出てきた。JR東海は、水は戻しますという約束だったが、しばらくして戻せないとおっしゃった。JR東海が有識者会議の中で「戻せないが、こういう代替案がある」といった。代替案というのは、トンネルを掘った後、トンネルからしみ出した水を窯場にためて、その分を山梨県側の分だけだが、戻すといった。座長コメントはこれを追認した。追認したものを事務局がまとめた。JR東海が提案する、これを座長コメントが追認する。全体の委員のまとめとは限らない。そうでないという実態が分かっている。3者が一体になっているなというのが強い印象。
 全面公開という約束を、赤羽(一嘉)大臣なり、静岡県のことで要求して約束しているわけだから。議事録も残していないのはおかしい。そういうことを守らないというのは厳しい不信感が出てもしょうがない。
 国策ですから。静岡県だけでなくて、愛知、三重、長野、大阪、東京、神奈川、山梨、岐阜、みんな関心を持っている。静岡県の議論を国交省で、有識者会議でやっているのだから、隠す必要はまったくない。県の専門部会は完全にオープン。南アルプスの希少動物、希少資源がどこにいるか、そこは慎重にしているが。約束を守らないというのは最悪。

 岩井氏 有識者会議ということで、先生方を見ましたけれど、専門家が重要だというのは知事の言うその通りだと思う。問題の一つになっているのは、県とうまくコミュニケーションが取れていないこと。本当のコミュニケーションが取れていないのかなというのが一つ。全面公開ということについては、国交省を辞めた身なのであまり言う立場にないが、専門家の先生方のご意見もあって、フルオープンになると自由に意見を言えないということもあったらしい。ただ、知事になるのであれば、それはもう全面的に県民に見ていただいてというスタンスは(川勝)知事が言うように重要だと感じる。中間報告についてもコミュニケーションがとれていないと感じる。あくまでも国交省が作った中間報告というのは一区切りというよりは案を作られたという私の中での認識。まだ決まったわけでもなくて、また有識者会議を開催してその中で決めていくと思っている。もちろんこの案については、しっかりと説明がされたわけではないし、ここで決まったわけではないかなという認識だ。

 ―川勝氏は「トンネル湧水の全量戻し」を求め続けているが、これを実現できる現実的な方法はあるか。

 川勝氏 議論してもらうために有識者会議が行われている。科学的、工学的、技術的にできるかどうか。最終的にJR東海はできませんと。トンネル掘るときに水が出る。突発湧水が出ると。泥と一緒に出てくるから、作業する人が埋まってしまう。だから下側でなく上側に掘る。(水が出る)それ以外に方法はないと。このときに、突発湧水を含めてこれは戻りませんと。どのくらいか、低く見積もって年間300万㎥から500万㎥。山梨県側に流れるものだけで。永久に戻ってこない。その代わりに、代替案として、トンネルを掘った後、戻せますよと、言われる。トンネル湧水をためると。流出分をためると巨大なものになる。地下水が下がる。300メートル以上下がる。水質も変わる。生態系もやられる。トンネルを掘ると残土が出る。残土の中には重金属を含む危険なものもある。全部河川敷に置くと。崩れない保障はありますかと。全然議論されていない。代替案と言われてでてきたものは、相当リスクが大きいものが出てきている。対話の中で出てきた。コミュニケーションの結果として申し上げている。対話を続けている。
 次に水質の問題になるだろう。水質は、富士川でも問題になっているが、凝集剤を入れるから、水質が変わる。戻すといっても温度が違うから、水温が違うと、微妙に影響を受けるだろう生物も出てくる。エコパークの申請期限が間もなくくる。報告書にまともなことを書けないじゃないかと。代替案というのは、非常にリスクの大きいことを言われている。追認して、まとめて、大丈夫ですよという取りまとめ、いわば印象付けというのが色濃くでている。水不足に悩まれている方々の不安は非常に大きいと思う。

 ―他県から見ていると水の問題が伝わらなくて、静岡がごねているという他県の見方もある。

 岩井氏 ごねているというよりは、まだ確かにわからないところが多いというのが率直な意見。私も土木技術者で、施工の話は多少分かるし、実は国交副大臣の時にリニアの問題があり、ポンプアップという話があったので青函トンネルを見てきた。深度はリニアの方がずっと深いので技術的にかなり難しいと思っている。同時に青函トンネルは相手が海なので水の供給量が無限大という中でのトンネルの掘削ということだった。今国の支援も入れながら、くみ取り、ポンプアップをちゃんとやっているという状態。ただ条件が違うのでまったく同じというわけにはいかない。同時にくみ上げの話で(水を)戻すという話で、静岡県モデルでやられていると思いますが、先進杭が貫通するまでの約10カ月間でマックス500万トン流出するといわれている。資料も見たが、いろいろな工夫がされていて、斜坑を掘って水を先に抜くということであれば、500万トンの条件が変わってくると思う。ただ、すべてこの一つの解釈しかないというわけではない。あくまでいろいろな選択肢の中で、そしてその選択肢の中でいろいろな工夫が今の土木技術だったらできると思う。もしかしたらできないかもしれない。そこは、多角的な技術的な根拠に基づいて検討してもらわないと、この状況でオーケーというのはなかなか難しいし、まだ説明不足だと思う。環境問題についてはこれからの話。JRさんのアセス(アセスメント=環境影響評価)見たがまだまだ甘い。これで流域住民の理解得るのは難しい。この問題は県民、特に流域住民のみなさんの思いを最優先しながら、みなさんの思いをJRと国交省にしっかりと伝えるというのが役割と思っている。

 ―ルート変更に関しての考えは。

 川勝氏 リニアに反対しているわけではない。どこが最も喜ばれるかというと、実験線を持っている山梨県。山梨県はどちらの方向に実験線を掘ったかというと大月(市)の方向。東京に向かっている。もともと甲州街道があり、山梨県と東京というのは関係が深い。東京圏に位置している。そういう県民意識がある。(JR東日本の特急列車)「あずさ」だけだと遅いと。高速道路もあるが、雪に閉ざされることもある。そういうときに、リニア新幹線ができていたら、それを使って東京に逃げられるし、救援隊も入れる。飛行場もない。リニアは空飛ぶ新幹線だから。私の命名だが。これに対する期待はすごい大きい。当初(リニアが時速)500キロ出してギネスに載った。さらに500数キロ出してまたギネスに載った。この日本独自の技術をどういう形でいかせるかと私は考えている。突然、ルートが最短距離ということで静岡県が入った。長く静岡県は入っていなかったので、静岡県に対する調査が不十分だったと、有識者会議でますます顕著になっている。環境評価はずさん、甘いというのがますます明らかになった。そうでないルートがある。私は長く長野県に関わっていたが、長野県の知事さんは松本を通さなければリニアは許さないといっていた。松本か諏訪か長野か、これぐらいの議論。そのときに、誰が静岡のことを念頭に置いていたか。静岡県はリニア中央新幹線建設促進期成同盟会に入っていない。だれも静岡県がルートに入ると思っていなかった。トンネルを掘れる工学的な技術ができたと。それで掘ってしまえ、となって。環境の問題や水資源の問題、いかに甚大な問題性をはらんでいるか。JR東海もうかつにも知らないまま今日に至っているということではないか。

 岩井氏 ルート変更を決めるのは事業者。ただ、大井川流域住民の話聞いてきた。現場の声を聞くと、JR側の説明が住民目線ではないという印象を正直受けた。このような状況のもとで当然工事は続けられないし、こういう状況であれば、当然いろいろな選択肢を考えるのが当然だと考える。

 ―ルート変更は岩井さんを支持する自民党の意見とは違うが。

 岩井氏 あくまでも選択肢の一つであると同時に、自民党出身ではあるが、あくまでも知事は県民の立場に立つ。住民の意見を生かしながら、対話をもとに話を進める。その中で寄り添う姿勢が見られないのであれば、当然厳しい主張をJR側にも国交省にも言わなければならない。

 ―前に進めるためにはどうすればいいかと思うか。

 川勝氏 いったん立ち止まった方がいいと思う。コロナの中でオンラインもできるようになったし、今JR東海は赤字ということもある。乗客の予想が従来想定したものと同じになるかというのもある。原発も、安全でないという意見が体制を占めつつある。脱原発という人も多い。原発に依存しないで、どうして電力を供給できるのか。このことひとつとっても難しい。あるいは、南アルプスに関しては、あそこで事故が起きたら、どういうふうに逃げるのか。土被り1400メートルのところから、斜めに出ていっても山の中。冬だと凍え死ぬ。そういうことも含めて、最短で5、10分早くなるかもしれないが、1回立ち止まった方がいいというのが私の考え。

 岩井氏 この問題は、何が課題か。あくまでも流域の方々が水に苦労することがないようにするのが重要。今国会で、流域治水に関する法案を可決させていただいた。昨今温暖化によって雨の降り方が激甚化していて、静岡県内でも内水氾濫や台風で被害が出ている。その中で、私たちの想定を超えた状況になっていることは間違いない。それに対応するため、今までの個別的な対応ではなく、流域全体を見渡した治水をやらなければいけないという方針に国はかじを切った。分かりやすくいうと山々の山林が本当に保水力を担保できているのか、中流域においては洪水が起きた時にそれをポケットとして受けるようなところを作っておく、遊水地みたいなところを作っておくとか、ハードにしても浚渫(しゅんせつ)などの対策をちゃんとやりながら、あとソフトの部分でいかに逃げるかとか。街づくりと防災を一緒にやるとか総合的な対応が図られていた。ということは治水と利水は表裏一体だと思っている。この間、農業の方に話を聞いた。「水も大事だけれど水害も大変」という話が出た。同じ水が対象なので、治水、利水においても流域全体でどのようなニーズがあって、どのような課題があるのが、令和の時代になったのでもう一度再点検が必要。その中でリニアを再評価してだめならだめだし、目的をはき違えてはいけない。あくまでも流域市町の方々が、大井川は本当に大変な苦労をされている歴史がある。先人の思いも受け止めながら治水にしても利水にしても丁寧に皆さんが苦労することのない対応をしていく。

 ◇経済対策
 ―コロナ禍がもたらした経済全体への影響や、働く人の雇用や賃金の二極化を食い止めるには、どうしたらよいか。静岡県の経済を力強く発展させていくアイデアは。

 岩井氏 コロナ後の中長期的な話。公開討論会でダーウィンの進化論の話をした。強者が残って弱者が滅びるということではなく、どれだけ環境に適応していけるかという話。今、人類が試されている。地球温暖化の話もそう。人類が適応していかなければならない。産業構造も温暖化にともなってCO2削減をめざし、EV化が急に進んでいる。私も少しびっくりしている。あれは静岡県にとってものすごくインパクトのある話。つまり、ものづくり静岡県、特に自動車産業がものすごく裾野が広くて本当に県の経済を担ってきた。その中で産業構造の変化、つまり、ガソリンエンジンがモーターに代わるということは、私も今各地回っているが、どれだけ部品メーカーの人が戦々恐々としているか。その対応をどう図るかというのは、私は知事の大きな仕事だと思っている。二つある。一つは、トヨタさんが言っているように内燃機関のエンジンはそのまま守るべきだと思っている。なぜなら日本人そして静岡県人の手先の細やかさ、アイデアの柔軟性がそこに詰められている。それをみすみす失ってはならない。そこは守りながらも、新しい産業転換というのを、まあEV化、世界で進んでいくのでまったくやらないというのは絶対行かないので、守るべきを守りながらも変えるべきところは変えるというスタンスが重要。そこは、今経産省いろいろ考えている中で、新しい事業展開とか施策を打っている。まさにそういうところを国と連携して、国の施策を利用、活用しながら県独自のものづくり産業をどう守っていくかを具体的にやっていかないといけないと思っている。
 補足になるが、産業構造の転換の話の中で、どうやって変化に合わせるか。国としては、自動車産業が特に大きな稼ぎ頭だったことは間違いない。同時に一次産業の成長を考えている。茶のニュースがありました。鹿児島に茶の生産額で静岡が抜かれた。摘み取り時期が向こうの方が早い、平野で機械化ができるなどあらゆる要因はあるが、農業をはじめとする漁業をどれだけ成長産業化に結び付けられるかが一つの課題。おかげさまで静岡は農業、水産業の土壌がある。国の施策をうまく利用してどれだけ成長できるか全力でトライするべき。同時に農業はもうかる農業だけでは済まない。つまり家族農業。その方々は多面的機能といって、景観とかコミュニティーとか重要な役割を担っている。その方々もしっかりと支えていかなければならない。渋沢栄一の資本主義とは稼いだものをどう使うか。稼ぐ農業をしっかりやって、その稼いだ農業の中で家族農業をどう支えるか、農業全体の話の中で進めていきたい。それを県がしっかりと国や各自治体と連携して進めたい。

 川勝氏 消費税が上がった。個人消費が落ち込んで、あおりをくらっているところにコロナが来た。個人消費ががたがたに落ち込んだ。そうした中、皆さん苦しんでいるから、(私の)給料下げろとか言われたが、私は反対した。まずは困っている人たちの物を買いましょうと。個人消費を上げるのにどうすればいいか。失業の心配のない公務員などができる限り県産品を買いましょうと。バイ・しずおかという試み。山梨県知事の長崎幸太郎さんは給料1円にされた。部長、局長は半減とか30%減とか。私は、東日本大震災のときに堤防をつくらないといけないと、津波対策でそのときは率先して給与を下げたが、今回はそうではない。(山梨県に)サクランボを買いに行った。次につながり、(静岡の)海産物を買いたいと言う人が(山梨から)来られて。長崎さん1人で沼津で35万円使った。桃につながり、シャインマスカットにつながり。静岡県の新茶がほしいと、きょうから山梨県で(販売会が)始まった。こうした形で、まずは個人消費を活気づける。これが生産者を元気づけることにつながる。
 もう一つ、広域経済圏をつくる。静岡県と山梨県を合わせて人口440万人になる。インフラもできつつある。ふじのくに経済圏として経済圏をひとつにしようと。中部横断自動車道の一部開通のときに、山梨県の人が来て、おたくの港になりましたよ、清水港(と言った)。静岡空港もお宅の空港として使ってくださいと。山梨県の予算で静岡空港にお金をつけてもらい、静岡空港で一緒に観光案内所を経営すると相成った。特に重要なのは、向こう(山梨)は精密機械を持っている。うちは医薬品、医薬器具が10年間日本一。ふじのくにの健康産業をつくっていく。リーディング産業。私の基本的な方針は一点突破。全面展開。リーディング産業というのは的を絞って、EV(電気自動車)、観光産業、第一次産業ルネサンス、医療関係産業、こうしたものに傾注して、第一次産業なんかも、品質の高いものを科学的につくるためにアオイパーク、チャオイパークというふうにして、最先端の科学技術を巧みの技の中に取り込んで、安定的供給できるようにする。山梨県に、今は長野県も加わりたいといっている。バイ・やまのくにも実体としていえるようになった。こうした形で経済圏を大きくしていく。

 ―静岡県の観光産業が傷んでいる。復興は。

 川勝氏 バイ・しずおか、バイ・ふじのくに、お互いにサービスをしようと。サービスの中には旅行が入っている。旅館、ホテル、名所旧跡。これらを念頭に置いてバイ・しずおかに取り組む。観光産業も含まれている。静岡県の感染者数は人口当たりで少ない。4月に補正を69億円組んだが、国から静岡県にふってきたもの。破格のお金。ただし、5月末までに使ってくれと、うちは観光産業で、国はぽーんとそれだけのお金をくださった。実際には、年末まで伸ばしてもらった。山梨県の場合はグリーンフーズ認証というのをやっている。これをまねして「ふじのくに安全・安心認証制度」を創設した。今度は、83億円ぽーんとくれた。感染対策、検温とか手指の消毒とか換気扇とか間仕切りとか、大きなところだと部屋の仕様を変える。これ(を補助するのに)に使う。旅行は年末まで使える。かつ、受け入れる側も安全対策を施す。ふじのくにとして静岡県と山梨県が一緒に交流できるように国に訴えかけて、ここの地域で440万人が交流すれば、相当活性化する。布石は打ってある。観光すれば必ず食べる。サクランボなど季節物だけでなくて、例えばワインは山梨県に一年中ある。こちら(静岡)の日本酒やお茶を買いに来たり。観光産業をはじめから念頭に置いてやっている。

 岩井氏 まず一つ、コロナ禍の中の対策というのは、コロナの封じ込めと経済を回すバランス。アクセルとブレーキを両方踏んでどうするんだという批判もあるが。少し脱線すると、例えばレース場で、車がカーブを曲がる時「ヒールアンドトゥ」を使う。つまり安全に抜けるためにはアクセルとブレーキを場合によっては一緒に踏むこともあると思う。コロナ禍はコースが霧で「もわもわ」の状態。ワクチンで霧が晴れるのであれば、アクセルを踏むという状態に入っている。その思いの中で国交副大臣として、観光担当としてGo Toの批判を受けながらも、あくまでも感染症を防止するという観点を前提に進めた。変異株もあって県独自の経済支援も残念ながら止まっている。その中で何ができるか。官公庁で少し話した。飲食業で事前にネットとかでお金を集めて、(予約するような制度)今はまだ行けないけれど現場にお金を与えること。それを観光業に生かせないか。感染症が落ち着いてきたというのが大前提だが、この前のGo To、非常に有効だった。ガソリンスタンドなどにも波及効果非常に大きかった。治まってきたら国としてまたやってほしい。一つGo Toトラベルをやっての反省点は車の移動が多すぎた点。一番難しいのが公共交通機関。民間企業でありながら公共性を有しているということで、板挟みになっている。できれば次のGo Toには公共交通機関を入れるというインセンティブがほしい。さきほど知事がおっしゃった「ふじのくに安全・安心認証制度」素晴らしいと思う。そこにもう一歩踏み込んで、山梨の場合は認証イコール営業許可もセットになっていたと思う。静岡県でも認証受けた事業者が営業できるという制度が必要では。県にも責任が生まれるが、こういう時だからこそ、事業者と県が責任を分かち合うというのが必要なのではないか。

 ◇静岡県の将来像
 ―知事選では将来の静岡県の展望についてどのように語り、訴えていくか。その狙いと、キャッチコピー、スローガンは。

 岩井氏「今はとにかくコロナ禍を乗り越える。コロナが訪れる前の問題として、平成26年、増田寛也さん(=元総務大臣、当時日本創生会議座長)が人口減少に警鐘を鳴らした。そのとき内閣府の大臣政務官の仕事をしていて、『まち・ひと・しごと創生本部』のメンバーであった。人口減少というのは、地域の力を減らす根源。そこをどれだけ抑えられるか、できれば増やしていく、その努力を4年の間にしっかりやっていく。まず、その時に議論に上がったのが、女性。女性が故郷から都会に行ってしまうと、出生率が減ってしまう。ただ仕事があるだけでなく、女性が当たり前のように活躍できる仕組みを作る。三つ考えてきた。一つは安心安全。住んでいるところが安心安全でなければならない。焼津でもあったが、東日本大震災後、沿岸部から人口が移動した。あれは地域の安心安全に不安を持ったから。静岡は建物の耐震化は進んでいるが民間建築にはまだ少しやらなければならないこともある。私は防災の専門家でもある。豪雨災害、津波、富士山噴火時の対応、そのような時は自衛隊の活躍をお願いしないといけない。そのあたりの連携を深め、安心安全な街を作ることに注力したい。二つ目は稼ぐ力。やはりもうからないとダメ。静岡県の工業製品出荷額ここ10年マイナスだったと思う。ものづくり静岡と言われている私たちの県がやはりこのままではいけない。工業製品にしても、先ほど農業の話もしたが、しっかりと稼げる手だてを、これは県だけではできない。しっかりと国の大きな施策と連携したい。三つ目。静岡を誇りに思い、愛せる県民を一人でも多く増やす。子どもたちが東京に行って帰ってこないという話を聞く。そういうことに対しては、愛着を県に持ってもらう教育をやりたい。同時に企業の誘致。移住したいという動きもあるので、そのあたりをトップセールスでがんがんやっていきたい。

 川勝氏 SDGs。193カ国、国連加盟国全部がOKした。移住希望ランキング、静岡は1位。希望の星になっている。希望の星を富士山との絡みでいえば、山梨県も入る。修学旅行もだいぶ山梨県から静岡県にこられている。私どもも、道路が整備されて行きやすくなった。この二つの県で日本の奥座敷構想を考えている。下町と山の手と、山の手のほうが高級感がある、そういうこういうところに行きたい、富士山のようなきれいなところに行きたいという気持ちがみんなある。それを共有している両県で、仕事もできるし、行楽もできる奥座敷。日本のあこがれの奥座敷として、富士山をシンボルにした山の手コースをつくりたい。関東平野から箱根を上がっていって、富士山にたどり着く。富士山が日本の山の手になると。長野県は人口210万人かな。新潟県も入れると800万人近くになる。東京都とあまり変わらなくなる。ここに大きな物流が生じれば、特に農産物は安全で安心な食べ物に困らない。旅行も景色がきれいで温泉がある。日本の奥座敷、表玄関に富士山がある静岡県に来てくださいと。向こう4年間で可能だと考えている。脱東京。東京時代から静岡時代へ。SDGsのロールモデル。先進モデルになる。今静岡県に外国人が増えているのも住みよい、差別されないからだと。多文化共生で、宗教や肌の色、国籍で差別しない。基本的な原則。これが追い風になっている。

 ―静岡県の人口減少は歯止めがかからず、若い世代を中心に、転出超過の傾向が続いています。人口減少問題にどう対処しますか。

 川勝氏 10代後半になると一回親元から出たいというのは、止める必要はない。出て行くときにどれくらい地域のことを知っているか(が大切)。そのまま東京に行って、大学卒業して就職と。地域のことを知らないまま行っている。これに知らせるために、高校生には卒業するときにウェブサイト「ふじのくにパスポート」(のコード)を渡して、静岡県の情報が常に手に入るようにしている。大学と就職支援協定を三十数校と結んでいる。静岡県の情報が入り、県外の人も静岡にお越しくださるようになる。30歳になったら静岡県という運動も奏功して(人が)入ってきている。医者の対策もやっている。事実、効いてきている。30歳前後の人が終の棲家として静岡を選んでいる。東京にもアクセスがいい。人口流出も大切だが、皆さんから選ばれる地域になるためには情報を提供すること。地域自立が大切。国の力も借りるが、地域をどう自立させるか、そのときにパートナーシップが大事。SDGsの最後(の目標)にある。山梨県とか長野県とか、GDPが優に中進国並みになる。静岡県の17兆円のGDPはニュージーランドに匹敵する。そこには800万近い人口がいる。すごく恵まれている。自立した地域として、ここでは稼げると。(静岡県は)女性を大事に、子育てを大事にしている企業をずっと表彰してきた。男女共同参画を超えてLGBTがある。性差別をしない。誰もが差別しないで働けるようにと目指して多文化共生をやっている。だれもが差別されないで働けるようにしている。外国の人たちからも憧れられるということになっている。それを推進していけばよろしい。先進国は、人口がどこも減少する。人口減少の中で、どのように新しい文明をつくっていくかという発想の転換をして、地域自立に大きくかじを切る。ふじのくにづくりをしていく。山の国として、全体として日本の山の手としてPRしていくと、おのずと人々が来るであろうという構想を持っている。

 岩井氏 自立というのはいいと思うが、孤立をしないようにしたい。連携が大事。若い方はいろんな思いを持って都会に行くと思う。活躍してほしいと思うが、一つは仕事がないという思い(から都会に出る)。また、静岡県の中で学ぶ機会があれば。リモートも進んでいる。IT教育も進んでいる。新しい技術を入れながら、でもハートある教育を進めたい。静岡県で学び、できれば静岡県で働いていただける環境づくり、魅力的な企業に来ていただくことに全力を傾けたい。

 ―最先端技術を活用した「未来都市」に向け、県内でも動きが出てきた。裾野市ではトヨタ自動車が「ウーブン・シティ」を提唱し、注目を集めている。将来の県土に向けたビジョンは。

 岩井氏 裾野のプランを見させていただいた。最近の考え方の大きな流れは、防災と街づくり、観光と街づくり、産業と街づくりが連携するべき。東部地域はファルマバレー構想という、医療系の先人たちが種をまいてくれたこともあるし、ウーブン・シティについては、自動車産業界の変化に柔軟に対応するためにトヨタさんが考えられたもの。さまざまな技術がそこに盛り込まれるということは企業誘致も可能性が広がる。そこはトップセールスでいろいろな企業を呼んでいただいて。魅力的な街づくりはトヨタさんがしっかり進めるでしょう。そこに関連企業が必ず集まるので、そこはしっかりとつなぐ役目をして魅力ある企業に来ていただいて。そうすれば必ず静岡県の若者がそこで腕を磨き世界に羽ばたくということになるのではと思っている。

 川勝氏 企業立地は、常にトップクラス。最近では小山町、金太郎のイメージが強かったが、工業団地「富士山麓フロンティアパーク小山」がある。2年間で10社が進出し、うち8社は初めて来た。湖西では、1千億円の増収を目指して動いている。企業誘致はウーブン・シティがこなくてもできた。(トヨタ社長の)豊田章男さんが、(本社のある)愛知県ではなくうち(静岡)を選んでもらった。実験都市。隣が長泉。ものづくり、ひとづくり、まちづくり、世界展開とやってきた。いよいよ、ものづくりは医薬品が出てきた。ひとづくりは慶応義塾や早稲田が入ってきた。(長泉町は)医療城下町づくり。(長泉では)実験的なモデルルームをつくっている。同じような実験都市がウーブン・シティ。親和性がある。(ウーブン・シティには)2千人がやがてくる。大半が外国人。公用語は英語。医療の問題は必ず心配になる。教育も心配される。われわれはインターナショナルスクールを考えている。食料の問題。一切差別をしない。食の都づくりをやっている。10年以上やっているから、根付いている。そういう人たちを表彰している。多様性、ダイバーシティがある。ウーブン・シティは大輪の花。それを支える土、景観、額縁をつくっていくと。トヨタはあまりオープンにしていないが。近くの山梨県も入れながら、静岡県東部地域が最も健康で新しい技術が使われていると。人に優しい地域だと。同時にスポーツというのが普遍言語。サッカーとかバスケットボールとかラグビーとか。そうした施設が近くにできるように。ウーブン・シティは、額縁をわれわれが作り上げながら、大輪の花がしっかりと咲くようにしたい。

 ―これだけは言いたいということがあれば。

 川勝氏 今は危機の時代。私は今、たまたまこの職責を預かっているが、これが変わると、現場が混乱する。チームとしてやっている。私は(知事職の)12年で現場を3千回以上回った。(コロナ禍の)昨年はさすがに100回を切ったが。現場のこと、人のことをよく知っている。コロナの対応、リニアの対応、オリパラの聖火リレーもこれからある。粛々と人間関係と信頼関係の中でやっている。特にこういう平時でない、危機の時は、どうしてもこの仕事は自らやらざるをえないと、ものすごい使命感を持っている。危機の時代であるからこそ。

 岩井氏 私自身4歳の子供がいて、ずいぶん価値観が変わった。静岡で生まれた子供だから、静岡で生まれ育って静岡で仕事してできれば静岡で結婚して暮らしてほしいと思っている。そういう意味では、まず教育ということについて。過去、県内の大学で講師をやっていたこともあって、子供に教える大変さ、楽しさを味わった。なおかつ建設会社で現場監督をしていた経験もある。そこで学んだのは、机の上で考えたことが、現場に行ってみると合わないことがあるということ。それがあって、自分はなるべく足を運んで、目で見て耳で聞いて、においをかいでというような形で、五感をフルに生かしながら現場を大切にしたい。その中で、教育の話をすると、子どもたちの未来を築くためにはそこで教えている教員の先生方が自主性を持って、本当にオリジナリティーあってもいいと思う。自由にある程度現場主義で何か活躍していただけるような教育ができれば、子どもたちはそれを受け止めて豊かな子供たちが育つと思う。どの会社でも同じ。県庁の仕事でもそう。現場で働いている方々が、本当に自分の考えを表現できて、それをしっかりと聞く耳を持って聞いて、それを判断する知事を目指して頑張りたい。

 ―お互いに質問を。

 川勝氏 4歳のかわいいお子さまがいらっしゃるということで、何かお子さまについて心配なことはおありか。

 岩井氏 一番心配なのは、子供がいるのに今自分が無職であること。結局どういうことかというと、親が安定して仕事ができて、安心して、そんなにぜいたくじゃなくてもいいんですけど、人生設計を作れるような静岡県であってほしい。今自分自身は矛盾しているが。今の知事の話を聞くと、子どもたちが本当に自由に成長するためにはそこの親(が重要)。親御さんがいない家庭もあると思うが、そこは地域全体で子どもたちを見ることもできるし、連携ということも含めてやっていけたら。

 岩井氏 自分自身スポーツが好きで、今も時々走る。オリパラ成功してほしいと思っている。ただ同時に、コロナがよくわからない中での開催をしっかりとやらないといけない。東部は医療が全体的には少し少ないといわれる中で、県として地域医療に影響を与えない施策や国との連携、不安なので教えていただきたい。

 川勝氏 選手にけがはつきもの。(五輪・自転車競技会場の伊豆)ベロドロームには箱というか、できあがっている。しかし、もし感染が拡大した場合どうするか。オリンピック、日本の組織委員会が心配されていること。今回はお客様がない可能性があるが、子どもには見せたい。安全安心を図るために医療体制はどうするか、明確にはできていないが、これが最大の関心事になっていることは間違いない。常時チェックして、選手、関連の人々、感染しない対策を今考えられる最善のことをする。日本のモデルケースになるくらいのことをしていきたい。橋本(聖子)会長も前の会長の森(喜朗)さんも『ここまでやっているところはほかにない』といった。そうしたことに励まされて、けががないよう、かつ感染がこのオリパラによって広がることがないようにする。まずは聖火リレー。万全の態勢を整えながらやっている。私のチームを信頼している。

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