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特集 : こち女

乳がん術後も温泉へ かんぽの宿、入浴着導入 静岡の活動きっかけ

 日本郵政が全国33カ所(静岡県内3カ所)で運営する「かんぽの宿」は、乳がん患者が公衆浴場で手術痕を覆うことができる「入浴着」の無料貸し出しや、着用に理解を求める啓発活動に乗り出した。同社の担当者が、静岡市の患者女性が進める入浴着の普及活動を知ったことがきっかけ。女性は「入浴着への理解が全国で広がっていけば」と期待する。

かんぽの宿が取り組む入浴着の貸し出しや啓発について説明を受ける増田郁理さん(中央)。館内では啓発動画も上映されている=4月中旬、焼津市のかんぽの宿焼津
かんぽの宿が取り組む入浴着の貸し出しや啓発について説明を受ける増田郁理さん(中央)。館内では啓発動画も上映されている=4月中旬、焼津市のかんぽの宿焼津

 同社宿泊事業部次長の石橋栄市さん(55)は昨年12月、乳がん検診のPRなど「ピンクリボン運動」を推進する焼津市の温浴施設「笑福の湯」を視察した。入浴着の普及活動をする静岡市清水区の増田郁理さん(43)も同席し、昨年制作した啓発動画や自身の体験談を紹介した。「手術後も変わらず家族と温泉を楽しみたい、という思いに共感した」と石橋さん。「全ての人にとって“安全・安心な宿”を掲げる弊社としても、啓発を進めたいと考えた」と言う。
 かんぽの宿は3月から、全施設で入浴着の無料貸し出しを開始。各施設で利用者が徐々に増えている。衛生面に問題がない点など利用者以外の理解も得るため、ウェブページに増田さんの動画を掲出し、「ピンクの日」と設定した毎月19日には館内上映もする。そのほか、セルフチェックを促すチラシの配布やピンク色の風呂セットの設置を通して、乳がんの早期発見・治療の重要性を訴えている。
 焼津市のかんぽの宿焼津で「ピンクの日」の取り組みを見学した増田さんは、「会員制交流サイト(SNS)での動画の拡散など草の根の活動をしてきたが、全国的な宿泊施設の発信によって、より入浴着を知ってもらえる」と喜んだ。石橋さんは「かんぽの宿だけでなく、各地域のほかの施設にも取り組みを広げていければ」と意欲を示した。
 (大滝麻衣)

 <メモ>県内でも入浴着の貸し出しや啓発を実施する温泉、温浴施設が増えている。焼津市の「笑福の湯」や静岡市清水区の「駿河健康ランド」など県中部の温浴施設6施設は連携企画「SHIZUOKA FUROJECT(静岡フロジェクト)」の一環として、昨年10月から入浴着の無料貸し出しに取り組む。乳がん支援コミュニティーMamma(滋賀県)が同9月に行ったウェブ調査(回答者336人)では、入浴着を「知っている」と答えたのは約3割だった。

 

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