清水一家総長ら逮捕 会社代表変更、虚偽登記容疑 静岡県警

 実際には行われていない株主総会の議事録を法務局に提出し、代表取締役の変更を登記したなどとして、清水署と静岡県警捜査4課、組織犯罪対策課は24日、電磁的公正証書原本不実記録・同供用、有印私文書偽造・同行使の疑いで、静岡市清水区に本部を置く指定暴力団山口組清水一家総長(73)=焼津市八楠1丁目=ら3人を逮捕した。総長は山口組最高幹部の1人。

清水一家本部に本店を構える株式会社の登記事項証明書。2018年7月30日に代表取締役が変更したことになっている(画像の一部を加工しています)
清水一家本部に本店を構える株式会社の登記事項証明書。2018年7月30日に代表取締役が変更したことになっている(画像の一部を加工しています)

 容疑者の他に逮捕されたのは、清水一家幹部の会社役員の男(63)=静岡市清水区山原=、知人の会社役員の男(74)=同市清水区清地=。同署などは3人が暴力団活動の「隠れみの」に活用していた会社を存続させるため、虚偽の登記を行ったとみて調べを進める。
 3人の逮捕容疑は共謀して2018年7~8月、清水一家本部に本店を構える株式会社について、実際には臨時株主総会を開いていないのに、当時の代表取締役が辞任し、63歳の男が後任に就く決議があったとする虚偽の議事録を作成した上、静岡地方法務局に提出して登記に変更を記録させた疑い。
 株式会社は06年7月に設立され、活動実態は不明。捜査関係者によると、当時の代表取締役は組員だった男性で、組織を離脱する意向を示していたという。3人は男性が離脱に伴い株式会社の経営権を組織以外の第三者に譲渡してしまう事態などを危惧し、男性に無断で登記の変更を行ったとみられる。

 ■別事件逮捕の直前に変更
 指定暴力団山口組清水一家本部に本店を構える株式会社の代表取締役の変更は、当時代表取締役だった組員の男性が別の事件で逮捕される2日前に行われたように偽装されていたとみられることが、24日までに取得した同社の登記事項証明書で分かった。
 組員だった男性が別事件で逮捕されたのは2018年8月1日。登記事項証明書によると、この男性は同7月30日に辞任し、組幹部の男が新たに代表取締役に就任したことになっている。変更の登記は男性が勾留中だったとみられる同8月8日に行われていた。
 捜査関係者によると、同社から、清水一家本部の土地・建物の名義人である総長に対して賃料などの名目で資金が流れていたとみられる。県警は株式会社を介することで、不正に得た資金をマネーロンダリング(資金洗浄)していた可能性があるとみて捜査を進める。

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