「参加」表明も凧揚げず 運営側要請で数合わせ【逆風の中で 浜松まつり㊥】

 新型コロナウイルスの感染防止の為不参加の決定をしました―。浜松市の中心街、中区千歳町の公会堂。その正面に、「浜松まつり不参加」を町民に知らせる貼り紙がある。だが、参加町一覧に同町は名を連ねている。

浜松市中区千歳町の公会堂に掲示されている浜松まつり「不参加」の貼り紙=4月下旬、同区
浜松市中区千歳町の公会堂に掲示されている浜松まつり「不参加」の貼り紙=4月下旬、同区

 「事務局に参加を伝えたが凧場には誰も行かない。運営側から参加を懇願され、こういう形にした」。神村佳宏自治会長(78)は事情を明かした。
 参加を表明したのは対象174町のうち、6割弱の97町。実際には、千歳町のように凧を揚げない「名ばかり参加」を決めた町も複数ある。
 1月下旬に縮小開催が決定。実施を望む声が多かったというのが開催理由の一つだが、事務局が改めて各町に意向を調査したところ、感染拡大への不安から不参加を表明する町が相次いだ。
 「あまりに参加が少ないと開催が現実的ではない。伝統継承のためにも、前向きな検討を」「来年以降の予算確保に影響するかも」-。状況を懸念した運営側は参加に向けた再検討を各町に働きかけ、困惑しながらも応じる町が出てきた。
 中区のある町は2月時点で不参加の旨を町民に伝えていたが、要請を受けて参加に転じた。町民向けに「当初は不参加で考えていたが、度重なる参加要請がきた」と理由を説明する回覧文書を用意した。当日は代表者2人が凧場へ行き、到着報告だけを行う。
 東区のある町も参加か不参加かで揺れた結果、同様の対応を取ることにした。凧揚会幹部の男性は「勤務先から参加を禁じられている人もいて人数が集まりにくい。そうかと言って参加が減り、まつりがなくなるのは寂しい」と話す。運営側の声掛けが参加表明の後押しになったという。
 浜松まつり組織委員会の広野篤男代表委員長(75)は「世間の見方を考えると、6割はほしかった」と本音を漏らす。名ばかり参加の実態を承知しつつ、「浜松の伝統を何とかして守ろうという町の強い思いを大切にしたかった」と語る。

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