音声交流サイト「クラブハウス」活用法は 趣味に仕事に、直接やりとり

 音声の交流サイト(SNS)アプリ「Clubhouse(クラブハウス)」の利用が国内に広がって2カ月。インターネット上の「ルーム(部屋)」に集った者同士が交流する。当初の過熱ぶりは一段落した今、部屋で会話したり、会話を聴いたりすることが、生活の一部として定着した人もいる。新型コロナウイルス禍で人に会いづらい中、クラブハウスを使って人間関係や思考の幅を広げている静岡県内の30~50代の女性4人に、それぞれの活用法と、そこで何を得ているのかを聞いた。

磯中真子さん
磯中真子さん
三輪早苗さん
三輪早苗さん
青島美貴さん
青島美貴さん
鈴木陽子さん
鈴木陽子さん
磯中真子さん
三輪早苗さん
青島美貴さん
鈴木陽子さん


 「まったく縁のなかった人とつながる。クラブハウスはすごい世界」。不動産会社社員三輪早苗さん=藤枝市=は地方自治体について語る部屋で、長野県に住むある著名人と知り合った。自腹で空き家を購入、改修し、地域活性化拠点として運営する異色の公務員。4月上旬、ワーケーションを利用して同県へ出張し、対面を果たした。自社が進める空き家活用プロジェクトへの協力を打診した。「厳しい突っ込みをいただいたけど、前に進めそう。会えてよかった」
 広報担当という職種柄、新しいSNSをいち早く体感したくて、2月上旬からクラブハウスを使い始めた。「広報」「空き家」「静岡」などに関連する部屋に入る。仕事や家事をしながら聞き流す。相手の表情は分からないが、声色から「人となり」が伝わってくる。意見や質問があれば発言する。挑戦しようとしているプロジェクトも積極的に発信している。「投げ掛けてみることで、生の反応が返ってくる」。会話の中で新たなアイデアや気付きを得ている。
 茶商おかみ青島美貴さん=島田市=は毎朝、英語のリスニングとスピーキングに励む。フィリピン在住の日本人がモデレーター(進行役)を務める部屋の居心地が良く、気に入っている。仕事に出掛けるまでの1時間半、家事をしながら参加する。
 自身が進行役を務めることもある。クラブハウスで知り合った鹿児島県の茶農家の女性と2人で「日本茶部屋」を開いている。毎週土曜に1時間、部屋を訪れる発言者の質問に答える。消費者たちの素朴な疑問や反応が新鮮だ。「コロナ禍で人と話すことに飢えていた。時間が溶けていくみたいで、とても楽しい」
 育児休業中の教員磯中真子さん=静岡市駿河区=は早朝のほか、子供の昼寝や散歩の合間を縫って利用する。趣味で続けている舞台活動の友人が「静岡を盛り上げよう」と県民が集う部屋を立ち上げ、そこに参加したのがきっかけ。県内でさまざまなビジネスを営む人の話を聴いた。ある経営者の前向きな考え方に共感し、その経営者が発言している部屋をよく訪れるようになった。「時代に応じて変化しようとする姿勢に刺激を受けた」
 出産前は特別支援学校の教員として、生徒の就職指導をしていた。多様な価値観を受け入れること、常識の枠にとらわれない柔軟なアプローチをすること-。企業という別世界での実践事例を聞くことで、思考がより深まる。「世の中にはさまざまな考え方と選択肢がある。生徒たちがより広い世界に向き合っていけるよう、後押ししたい」と考えるようになった。
 自動車メーカー社員鈴木陽子さん=沼津市=は仕事帰りの車中で、「スマートシティー」をテーマに科学者や実業家が語り合う部屋に入る。いずれ何らかの形で、スマートシティーに関わりたい夢がある。「会社では事業の実現性ばかり考えてしまう。異業種の人のビジョンを聞いていると視点が増え、自分のリミット(限度)が外れていく感覚」と話す。
(伊豆田有希)

 ■「『特別感』が人気、リスクも」 SNSに詳しいプログラマー内田竜太さんに聞く
 ネット上で音声をやりとりする機能はボイスチャットと呼ばれ、オンラインゲームで対戦し合う若者の間ではすでに定着していた。ボイスチャットを体験したことのない大人たちが、コロナ禍でZoomなどのオンライン会議アプリを利用するようになり、その延長線上で、オフの時間を楽しむ場としてクラブハウスが受け入れられたのではないか。
 大人のSNSといえば文字と写真がベースだった。①音声だけという珍しさ②会話の記録が残らないため、その場にいなければ聞けない特別感③招待制という焦燥感をあおる仕組み④著名人の利用-が急拡大の背景だ。
 録音した音声をいつでも聞ける「ポッドキャスト」などとは異なり、リアルタイムで時間を拘束されることがうっとうしくて、クラブハウスを離れる人もいる。半面、利用者を囲い込むには最適で「今参加しなければ会話についていけなくなる」と依存させるリスクもはらむ。また、運営企業はビッグデータ解析のために、部屋の会話を録音している可能性はある。街中にあるオープンカフェでプライベートなことは話さないのと同じように、利用にはリテラシーが必要だ。

 クラブハウス 2020年春に米国企業がリリースした音声専用の交流アプリ。スマートフォンの「iPhone(アイフォーン)」でのみ、ダウンロードできる。使い始めるには、すでに使っている人から「招待」してもらう必要がある。世界中の利用者のプロフィルを検索、閲覧でき、連絡先が載っている場合は直接メッセージなどを送ってやりとりすることができる。

 

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