肉体のやりとりに力点 SPAC「せかい演劇祭」4月24日から

 静岡県舞台芸術センター(SPAC)の「ふじのくに せかい演劇祭2021」が24日から5月5日まで、静岡市内で開催される。例年なら国内外の10作品程度が集まるイベントも、新型コロナウイルス禍の今年は野外上演の2作品のみ。宮城聰芸術総監督は規模を縮小しながらも観客を迎える意義に触れ、「生身の肉体でしか感知できないやりとりに力点を置くべきだと考えた」と話す。

作品を発表するSPACの宮城聰芸術総監督(右)と出演俳優ら=静岡市駿河区の静岡芸術劇場
作品を発表するSPACの宮城聰芸術総監督(右)と出演俳優ら=静岡市駿河区の静岡芸術劇場
「野外劇 三文オペラ」より(画・岩渕竜子)
「野外劇 三文オペラ」より(画・岩渕竜子)
「おちょこの傘持つメリー・ポピンズ」より
「おちょこの傘持つメリー・ポピンズ」より
作品を発表するSPACの宮城聰芸術総監督(右)と出演俳優ら=静岡市駿河区の静岡芸術劇場
「野外劇 三文オペラ」より(画・岩渕竜子)
「おちょこの傘持つメリー・ポピンズ」より

 3月下旬、静岡市駿河区の静岡芸術劇場で開いた記者発表。宮城監督が準備の過程を振り返った。
 「ウェブ企画を充実させる選択肢もあったが、どうやらオンラインを介在させると伝わらないことがあることも分かってきた。制約はあれど、ともかく生」。昨年は動画配信などウェブ企画で代替し、公演による開催は2年ぶりだ。
 宮城監督演出の「おちょこの傘持つメリー・ポピンズ」は、さびれた傘屋に現れた謎の女性客らの物語。昨年の演劇祭で準備していた唐十郎作のアングラ演劇を、同区の舞台芸術公園で上演する。
 イタリアの演出家コルセッティによる「野外劇 三文オペラ」は、ギャングの結婚をめぐる陽気な音楽劇。2018年に東京芸術祭で上演した舞台を同市葵区の駿府城公園特設会場で再構築する。
 駿府城公園ではこのほか、東京五輪・パラリンピックの共催イベントとして同時開催するSPAC代表作「アンティゴネ」の上演がある。
 リモート参加で稽古を見てきたコルセッティも、演劇祭当日の来日は断念した。宮城監督は「自分が子供の頃は、海外の劇団もオーケストラも遠い存在だった。それでも来日すれば、皆が目を皿のようにして何かをくみ取ろうとした」と往時の状況を重ねる。
 オンラインで届けられる情報がある半面、「テクノロジーでは伝えきれない微量な情報で本当のことが分かる。簡略化されない情報を発信する肉体へのアクセスが今こそ必要」。今年はネット環境に欠落している「肉体の補給」をメッセージにも掲げている。
 (文化生活部・宮城徹)

 <メモ>「野外劇 三文オペラ」は4月24、25日、「おちょこの傘持つメリー・ポピンズ」は28~30日、いずれも午後6時開演。「アンティゴネ」は5月2~5日、午後6時45分開演。問い合わせはSPACチケットセンター<電054(202)3399>へ。

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