小児がん相談室への相談急増 家族に寄り添い「かけがえない場所」 静岡県立こども病院

 静岡県内唯一の小児がん拠点病院の県立こども病院が2018年度に設けた小児がん相談室での相談件数が急増している。同年度の380件から20年度には903件へと2・4倍に。小児がんの0~14歳は成長が著しい上、患者数が少なく生活の悩み事を共有しにくい。相談室は家族全体をみることで、本人や家族の多様なニーズに応じている。

相談室で遊ぶ西大路和花さん(右から2人目)と七菜さん(右)姉妹。その間、母優奈さんが日頃の生活の様子を話した=静岡市葵区の県立こども病院
相談室で遊ぶ西大路和花さん(右から2人目)と七菜さん(右)姉妹。その間、母優奈さんが日頃の生活の様子を話した=静岡市葵区の県立こども病院

 「今日学校で演奏したの。動画を見て」。3月中旬、相談室に弾んだ声が響いた。8年前、生後半年の時に入院治療を受けた富士宮市の西大路和花さん(8)。家族と定期的な採血検査の後に必ず相談室に寄る。常備してあるおもちゃや粘土を使って姉妹が夢中で遊ぶ間、母の優奈さんは2次がんなど晩期合併症の対策から生活での出来事まで、思うことを話す。
 相談室は地域連携室から独立する形で外来に開設。専従看護師を配置したほか、研修を修了した相談員も当初の2人から9人に増員した。「8年前は受診の時だけが質問のチャンスだった」と振り返る優奈さんは「今ではいつでも訪ね、思いつくままに聞き、確かな回答をもらえる。同じ状況の患者が限られた小児がんの患者家族にとって、かけがえのない場所」と相談増にうなずく。
 姉の七菜さん(10)は「なぜ和花は病気になったの」と質問。専従の加藤由香看護師や医師に答えをもらったことで「当時寂しかった」と言えるようにもなった。医師になる夢もできた。加藤看護師は「家族全体を支えることが相談室の仕事」と話す。
 小児急性リンパ性白血病をはじめとする小児がんは以前は「治らない病気」だったが近年治癒率が飛躍的に伸び、経験者が増えた。乳幼児期で記憶がない人もいて「長期フォローアップ」の啓発は課題だ。相談室は多数の経験者とつながることで、成人医療への移行支援も目指している。本年度は県外や海外から10件近く問い合わせが寄せられ、増加の一因になっている。相談室長の渡辺健一郎医師(血液腫瘍科長)は「治療中や治療後、どこで治療を受けたかにかかわらず、相談してほしい」と呼び掛ける。
 (社会部・大須賀伸江)

 <メモ>小児がん拠点病院 地域で子どものがん診療の中心となる施設。県立こども病院など全国の15施設が2019年4月、国から指定された。適切な治療を進めるとともに成長期の子どもの特性に合わせた身体的、精神的ケアにあたる。

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