アーチェリー五輪最終選考会 山内(浜松商高出)3位で五輪切符

 アーチェリーの東京五輪最終選考会最終日は21日、五輪会場となる東京・夢の島公園アーチェリー場で行われ、女子の山内梓(近大、浜松商高出)が3位に入り五輪切符を手にした。

3位に入り日本代表に決まった山内梓(左)=東京・夢の島公園アーチェリー場
3位に入り日本代表に決まった山内梓(左)=東京・夢の島公園アーチェリー場


 ▽男子 ①河田悠希(エディオン)640点②古川(近大職)630点③武藤(トヨタ自動車)627点④菊地(エディオン)598点
 ▽女子 ①早川漣(デンソーソリューション)633点②中村(ハードオフ)631点③山内梓(近大、浜松商高出)630点④大橋(近大)607点
(男女とも上位3人が五輪代表に決定)

 ■直前負傷、耐えた 後半一気、強心臓「メダル取る」
 降りしきる雨と強風に動じなかった。山内は最後の72射目を撃ち終えても表情を変えなかった。マスク越しに初めて笑顔が広がったのは、矢を回収し五輪切符を祝う仲間の祝福を受けてから。「最後まで自分の撃ち方に集中できた」。五輪を目前にした極度の緊張や悪天候。点数が伸び悩む選手が多い中、精神的な強さが際立った。
 突然のアクシデントに負けなかった。最終選考会の1週間前に左肩周辺の痛みを訴えた。病院を数カ所回った結果、筋肉を損傷していたことが判明。東京入り直前の数日は医師からも練習を止められた状態だったが、「痛み止めを打ってでも出たい」と近大の山田監督に直訴した。
 痛み止めの薬で不安を紛らわせながらだったが、テンポよく撃ち続け徐々に調子を上げた。前半の第3エンドで後輩の大橋(近大)に追いつき、競り合いながら3位で折り返した。
 勝負強さを見せたのは後半だ。4位の大橋が第3エンドで失速したのを見逃さず、60点満点で53点の高得点をマーク。11点差まで広げ五輪切符を一気に引き寄せた。
 左肩の故障は課題である左の押し手を安定させる練習の最中だったと山田監督は明かす。監督は「押し手のバランスが良くなればもっと点数が出るはず」と本番までの伸びしろに期待する。手負いの状態で日の丸のユニホームを射止めた山内。「出るからにはメダルを取りたい」。喜びもつかの間、世界の強豪と渡り合う覚悟をにじませた。
 (名倉正和)

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