「理解得て着工を」流域10市町、JRに要望書【大井川とリニア】

 リニア中央新幹線工事に伴う大井川の流量減少問題を巡り、大井川流域10市町(島田、焼津、掛川、藤枝、袋井、御前崎、菊川、牧之原、吉田、川根本)の首長は20日、流域住民の理解と協力を得ることなく、着工しないよう求める要望書をJR東海に提出した。
 要望書は10市町の首長名で金子慎社長に宛てた。水量減少や水質悪化のリスクと対策に関するJRの説明が不十分だとした上で「水資源の確保と水質を含めた自然環境の保全に万全を期す」「国土交通省専門家会議で分かりやすいデータを提示し、流域住民に分かりやすく説明する」ことも要請した。
 8市町の代表者が静岡市内で宇野護副社長と面会し、要望書を手渡した。宇野副社長は「流域の理解を得られるようにこれからも丁寧に説明などをしていく」と応じたが、要望内容に関して「持ち帰って読み込む」として具体的な回答は保留した。流域の理解を得るプロセスについては「(流域市町と)今後、意見交換できるといい」との希望を述べる一方、県有識者会議で水資源に関する議論を再開することには難色を示した。
 提出後の取材に、染谷絹代島田市長は「流域の理解と協力なしに着工しないと明確に答えをほしい」と話した。流域側からは、国や県の有識者会議の議論が先決であり「(JRと)会っても仕方ない」(北村正平藤枝市長)との声も聞かれた。

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