自然を生かし地域課題解決 持続可能な社会構築へ(大学院大学至善館教授 枝広淳子氏)

 熱海市の自然を生かした環境教育やワーケーションの受け入れなどを手掛ける会社「未来創造部」の社長。環境ジャーナリスト、翻訳家、企業コンサルタントとして培った視点を生かし、地域課題の解決と持続可能な社会づくりを目指す。

枝広淳子さん
枝広淳子さん


 ―どのようなワーケーション環境を提供するか。
 「ワーケーションは単に田舎で仕事をするのではなく、生産性や創造性を高め、働く人が幸せになることが大切。リフレッシュするために海から陸を眺めたり、干物を作ったり、陶芸をしたりと多彩なプログラムを用意している。ワークスペースの階下には、まちでさまざまな活動をしている人が集うカフェを営業している。地元との交流が、新たなアイデアを生み出すきっかけになればうれしい」
 ―他市町との連携は。
 「熱海は伊豆半島、静岡県の入り口。訪れた人をとどめるのではなく、ニーズに合った他市町の環境やアクティビティーをコンシェルジュのように紹介していきたい。同じ思いでワーケーション誘致に取り組んでいる人たちとネットワークを構築し、互いの魅力を紹介し合うことが静岡県の『ワーケーション力』を高めると思う」
 ―環境と観光の関係性は。
 「環境を守る活動は観光資源になる。現在、川から海へプラスチックごみが流出するのを防ぐ取り組みを観光客に見える形で行っている。観光客が実際に見たり、体験したりすることで、環境を守る意識や日頃の行動を変えるきっかけを持ち帰ってもらう。そんな『SDGs(持続可能な開発目標)観光』を打ち出したい。世界では旅先や宿を選ぶ際に環境への配慮を基準の一つにしている人が増えている。それに応えられる環境や体制を事業者らと一緒につくりたい」
 ―今後の展望は。
 「企業向けの会員制コミュニティーをつくる予定。大企業の多くは今、従来の事業から脱却して新たなビジネスモデルを開発しようとしている。社員はそのタネを社会課題から見いだし、解決する力を身に付けようとしている。コミュニティーでは、熱海をフィールドに課題の取材、分析、検証などを行い、それぞれが解決策を考える。高齢化率や空き家率が高い熱海は日本社会の課題を象徴している街。そこで解決策をつくり、全国展開できたら日本中で役に立つと思う」
 (聞き手=熱海支局・豊竹喬)

 えだひろ・じゅんこ 大学院大学至善館教授。「不都合な真実」(アル・ゴア著)の翻訳者。執筆活動の拠点にしていた熱海市に昨年移住した。58歳。

SNSでシェアするSHARE

いい茶0