東日本大震災 10年 しずおか=復興の歩み 街は 暮らしは

 東日本大震災から11日で10年。本紙は発生直後から被災地入りして継続的に取材を続けてきた。現地はどのように変化したのか、写真で振り返る。また、静岡県がパートナーとして支援している岩手県の大槌、山田両町長に復興の現状や南海トラフ巨大地震が想定されている静岡県の備えについて聞いた。(社会部・武田愛一郎、御前崎支局・木村祐太、浜松総局・柿田史雄)

山田町佐藤信逸町長10年を振り返る佐藤信逸町長(町提供)
山田町佐藤信逸町長10年を振り返る佐藤信逸町長(町提供)
オンライン取材に応じる平野公三町長大槌町平野公三町長
オンライン取材に応じる平野公三町長大槌町平野公三町長
岩手・釜石 大津波に襲われた鵜住居地区防災センター。逃げ込んだ多くの住民が犠牲となった=2011年4月11日、岩手県釜石市
岩手・釜石 大津波に襲われた鵜住居地区防災センター。逃げ込んだ多くの住民が犠牲となった=2011年4月11日、岩手県釜石市
岩手・大船渡 壊滅した大船渡港周辺。市内では10メートルを超える津波高が観測され綾里地区では遡上高が40メートル超に上った=2011年3月19日、岩手県大船渡市
岩手・大船渡 壊滅した大船渡港周辺。市内では10メートルを超える津波高が観測され綾里地区では遡上高が40メートル超に上った=2011年3月19日、岩手県大船渡市
山田町佐藤信逸町長10年を振り返る佐藤信逸町長(町提供)
オンライン取材に応じる平野公三町長大槌町平野公三町長
岩手・釜石 大津波に襲われた鵜住居地区防災センター。逃げ込んだ多くの住民が犠牲となった=2011年4月11日、岩手県釜石市
岩手・大船渡 壊滅した大船渡港周辺。市内では10メートルを超える津波高が観測され綾里地区では遡上高が40メートル超に上った=2011年3月19日、岩手県大船渡市


 岩手 大槌町・山田町からのメッセージ
 初動が重要 可能な限りの対策推進を 山田町 佐藤信逸町長
 ―復興状況は。
 「住宅の自力再建を選んだ人の98%以上が新たな住まいを取得した。防災集団移転で高台に移った所もほぼ空きがない。ただ、土地区画整理事業の区域は3割ほど空きがある。事業に時間がかかり、人が戻っていない。港湾整備などハード面はほぼ出来上がった」
 ―大震災直後、静岡県は山田町から被災がれきを受け入れた。
 「静岡の人には足を向けて寝られない。原発事故で、がれきに放射能が含まれているのではないかということで、全国どこも受け入れてもらえなかった。そんな中、静岡県や島田市はいち早く引き受けてくれた。静岡はお茶どころ。複雑な思いはあったと思う。大変な勇気と労力を発揮し、他県でも処理してもらう先鞭(せんべん)を付けていただいた」
 ―火災による被害も甚大だった。
 「最初は小さな火で、すぐ消えるだろうと楽観していた。ところが、道路が川と同じ作用をして、津波に運ばれてきたがれきが道路に積み上がり、燃え広がった。2日間にわたって町が焼き尽くされた。道路を重機で啓開しようにも、延焼するかもしれないし、遺体があるかもしれない。計画通りにはいかなかった」
 ―本県への提言を。
 「南海トラフ巨大地震は数分で津波が来ると言われている。初動が大事だと思う。私も静岡には何度もおじゃまし、地理は分かる。避難路を作ったり、要支援者対策を考えたり、大震災の教訓を生かし事前にできる対策を進めることが大事」

 町の基礎完成 財政運営が一層重要に 大槌町 平野公三町長
 ―復興の状況は。
 「防潮堤の整備は2021年度まで残っているが、ライフラインが整い、区画整理や集団移転が進んだ。この10年で町の基礎が出来上がった。静岡県にはパートナーとして震災直後から支援をしてもらい、おかげさまでここまで来られた」
 ―国の復興予算で整備したハード事業の維持管理は今後、町が行うことになる。
 「被災地に共通した課題。改修や補修の時期が同時期に来る。計画的に維持管理をしていくことが大事。幸い町内では新型コロナウイルス感染者は出ていないが、経済の冷え込みは厳しい。少子高齢化もあり、見通しをもった財政運営が必要になる」
 ―大震災では多くの職員が犠牲になった。
 「亡くなったことによるダメージだけでなく、生き残った職員の精神的な負担が大きかった。震災直後の非常時に頑張った職員が数年後に次々と辞めていくという現実があった。大災害は長期戦。職員自身が命を守ることはもちろん、職場として職員の心と体をサポートすることが大事。住民の生活再建にも大きく関わる」
 ―大災害を見据えてどのような対策が必要か。
 「役場や病院など公共施設が津波浸水区域にあるのならば、区域外に移転させた方がいい。明日にでも大地震が来るという意識を持ってできるだけ早く進めるべき。行政職員は所属や階級などにとらわれず、職員として住民を守るために何ができるかを平時から考えて、判断能力を磨いてほしい」

 静岡県の両町支援 現在も継続
 岩手県大槌町は、町民の1割に当たる約1200人の町民が亡くなった。町長をはじめ職員も多数犠牲になり庁舎も被災した。山田町も町民約800人が命を落とした。本県は震災直後、両町から約3000トンの災害廃棄物を受け入れた。両町や岩手県に職員を派遣し、漁港や水門などのインフラ整備や被災者支援に当たってきた。この10年で両町と岩手県に延べ計250人以上を派遣し、現在も職員が駐在している。

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