時論(2月18日)部活は「オン」「オフ」どっちだ

 「欧州ではスポーツをするのがオフ(休息)の時間ですよね。でも、日本ではスポーツをしない時間をオフと言っています」。追手門学院大の有山篤利教授(スポーツ社会学)の講義における学生の発言だという。「スポーツを地域のエンジンにする作戦会議」(晃洋書房)から引いた。
 スポーツはそもそも、英国で上流階級の娯楽として生まれたとされ、欧州では豊かな休息を過ごす活動として親しまれてきた。
 学生の言葉は、学校の運動部など日本の現状を如実に表していると言えよう。選手は大会の結果が要求され、指導者はそれによって資質が評価される。余暇の楽しみを求めるはずが、常に「オン」の緊張状態になってはいないか。
 2018年にスポーツ庁は「運動部活動の在り方に関する総合的なガイドライン」を発表した。少子化や教員の働き方に対応した、持続可能な部活動を目指すものだ。顧問に代わって大会などへの引率が可能な部活動指導員の配置などが示された。
 策定の趣旨には、「生徒が生涯にわたって心身の健康を保持増進し、豊かなスポーツライフを実現するための資質・能力の育成を図る」とある。そこにはスポーツをして「オフ」を楽しもう、という欧州型を目指す意欲が見て取れる。同時に、具体策では活動時間制限や休養日の設定を明示している。これは、部活動が今後も日本型で行われることを前提としているからだろう。有山教授はガイドラインに「矛盾を感じる」とした。
 23年から地域移行が進む中学の部活動改革。団体競技の部員減や教員の負担軽減ばかりが注目されるが、日本のスポーツの在り方を考える機会にもしたい。
(論説委員・山崎善啓)

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