なめくじ 気味悪がるのはなぜ?/佐藤ゆず【SPAC俳優 言葉をひらいて㉑】

 うちにはカタツムリが5匹いる。庭にいるとかよく見かけるとかではなく、共に暮らしている。毎日水槽越しに一緒に夕飯を食べたりしている。カタツムリは寄生虫がいる可能性があるので、世話した後の手洗いは必須です。

なめくじ【ナメクジ】
なめくじ【ナメクジ】

 1匹は、2021年宮城聰演出の「ハムレット」という舞台を下田市で上演した時に、どうやってかスーツケースに忍び込んでついて来たであろう「下田クロ」。もう1匹は、自宅の駐車場で殻が割れかけて瀕死[ひんし]だったところをレスキューした「静岡シロ」。そして昨年、その2匹から生まれ卵がかえった子どもが3匹、大中小が元気に過ごしている。今年も生まれた卵が先日孵化[ふか]し始めた。写真のように爪の先より小さい。
 カタツムリと似た生き物でナメクジがいる。ジメジメした季節、石の下とか縁の下の入り口あたりにいる、陸に生息している巻き貝の一種のアレ。殻があるのがカタツムリ。殻がないのがナメクジ。祖先は共通なのだけど、見た目が大きく変わった2種。気持ち悪がられるのは断然ナメクジの方が多いような気がする。
 殻がないだけで気味悪がられるのはどうしてなんだろう? 日の当たらない隠れがちなところに割と集団で住んでいるから、不意に見つけた人間が不本意に驚かされて「なんだよ…チッ」なんていう積もり積もった忌避感? 何にせよ、こちらの勝手だ。殻があるだけで、梅雨時期のイメージキャラクターになってカレンダーなんかに描かれちゃったりするカタツムリとは大違い。
 動物好きな私もナメクジとは一緒に生活したことはない。
 彼らは別に傷ついていないかもしれないけど、人間から見ると明暗が分かれているように見える。人間の勝手な受け取り方で、急に塩で溶かされたりもする。勝手に期待して勝手に裏切られて落胆して勝手に嫌う。そんな人間関係に変換してみると、何だか急に申し訳ない気持ちになる。

 さとう・ゆず 新潟県出身。俳優の他に、ヨガ講師やアマチュアカメラマン、ラジオパーソナリティーなど幾つもの顔を持つ。動物オタク。2024年1~3月、宮城聰・寺内亜矢子演出のSPAC「ばらの騎士」に出演。

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