霧島勝ち越し、一山本2敗目 熱海富士ら4人が首位並ぶ 大相撲九州場所10日目

 大相撲九州場所10日目(21日・福岡国際センター)は、3大関が安泰。霧島が錦木を送り出して勝ち越しを決めた。貴景勝は小結阿炎をはたき込み、豊昇龍は関脇若元春を寄り倒し、ともに7勝目。単独首位だった平幕の一山本が2敗目を喫した。

熱海富士(左)が押し出しで湘南乃海を破り、勝ち越しを決める=福岡国際センター
熱海富士(左)が押し出しで湘南乃海を破り、勝ち越しを決める=福岡国際センター
霧島(左)が送り出しで錦木を下し、勝ち越しを決める=福岡国際センター
霧島(左)が送り出しで錦木を下し、勝ち越しを決める=福岡国際センター
熱海富士(左)が押し出しで湘南乃海を破り、勝ち越しを決める=福岡国際センター
霧島(左)が送り出しで錦木を下し、勝ち越しを決める=福岡国際センター

 関脇は琴ノ若が豪ノ山を上手投げで退け、2敗を堅守。大栄翔は元大関の平幕朝乃山を押し出し、6勝4敗とした。若元春は4勝6敗。
 2敗で霧島、琴ノ若、平幕の熱海富士(熱海市出身)、一山本が並び、1差で貴景勝、翠富士(焼津市出身)ら6人が追う混戦。十両は琴勝峰が2敗で単独トップ。
◇2敗 霧島、琴ノ若、熱海富士、一山本
熱海富士 先場所に続くV争い 精神面成長
 先場所で優勝同点の11勝を挙げた21歳の熱海富士が、今場所も優勝争いのトップに浮上した。湘南乃海を押し出して3連勝とし、自己最高位の西前頭8枚目で早くも勝ち越し。幕内3場所目のホープは「前に出られて良かった。(優勝争いは)しれっと頑張る」と地に足がついた様子だ。
 相手の左差しを右でおっつけ、左はず押しで上体を起こして一気に勝負をつけた。得意の右四つにこだわらず、八角理事長(元横綱北勝海)は「若手らしくていいではないか。前に出るから上位陣も怖い」と褒めた。
 精悍(せいかん)な表情で勝ち名乗りを受ける姿は、喜怒哀楽をあらわにした先場所とは異なる。部屋付きの楯山親方(元幕内誉富士)は「横綱を目指すのならば、勝つたびににこにこしていたら困る。考えが変わってきた」と精神面の成長を認めた。
 朝稽古では若い衆に交ざり、基礎の四股やすり足などを入念にこなす。自分のペースで調整する関取衆も多い中「やらない理由はない」ときっぱり。186センチ、181キロの大きな体は、はち切れんばかりに張っている。
 初土俵から所要19場所で初優勝すれば、貴花田(後の貴乃花)と朝青龍の24場所を大幅に更新し、年6場所制となった1958年以降初土俵の力士で最速となる(付け出しを除く)。「経験を生かして、頑張れればいい」と熱海富士。先場所は目前で逃した快挙に再び挑む。
貴景勝、連覇に望み  貴景勝は過去5勝6敗の阿炎を退けて、3敗をキープ。首位とは1差に縮まり、2連覇に望みをつないだ。11日目の琴ノ若戦から始まる終盤戦に向け「準備は自分にしかできない。また明日の相撲に集中して、その先にそれがある」と優勝へ意欲をにじませた。
 横綱昇進が極めて厳しい状況に変わりはない。内容も問われる中、この日は押しに徹することができず、はたき込み。昇進問題を預かる日本相撲協会審判部の浅香山副部長(元大関魁皇)は「引いて勝つ相撲が多くなっている。本来の相撲ではない」と物足りなさそうだった。
一山本首位陥落 「見せ場は終わり」  一山本は平戸海に完敗し、単独トップから陥落した。立ち合いで押し込めずに引いてしまい、棒立ちになって寄り切られた。優勝争いへの意識を問われ「そんなに硬くなったつもりはないんですけどね。僕の見せ場は終わりました」と自虐的に笑った。
 2敗で4人が並び、11日目は今場所初の三役戦となる関脇大栄翔との一番が組まれた。勝負の終盤戦へ「自分の相撲を取れれば。また明日から気持ちを切り替えて頑張ります」と気合を入れ直した。

 

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