ゼロゼロ融資 返済ピーク 金利据え置き満了 代位弁済 前年比28%増

 新型コロナウイルス下で売り上げが落ち込んだ企業への救済措置として実施された実質無利子・無担保融資(ゼロゼロ融資)の返済がピークを迎えている。金利据え置き期間の満了に伴い繰り上げ返済する企業も多い一方、原材料やエネルギーの価格高騰で資金繰りが悪化し、返済が困難に陥るケースも見られる。金融機関は新たな借り換えや経営改善による支援に力を入れている。

県内保証債務残高、保証承諾額、代位弁済額の推移
県内保証債務残高、保証承諾額、代位弁済額の推移


 企業の債務を保証する県信用保証協会(静岡市)によると、1~8月に廃業などで同協会が返済を肩代わりした県内の代位弁済は584件(前年同期比28・1%増)。全国的には東京都(50%増)、大阪府(64%増)、福岡県(79%増)と大都市圏を中心に増加している。本県は全国平均(56%増)に比べて増加幅は小さいものの、原材料やエネルギーなどのコスト高に苦しむ事業者は多く、8月単月では前年同月を47・5%上回った。
 民間調査会社の帝国データバンクによると、今年8月までの県内倒産件数(負債総額1千万円以上)は151件で前年同期を48件上回った。同社は「コロナ禍で倒産を抑制してきた手厚い支援が終了し、コスト上昇分の価格転嫁も進んでいない」と要因を挙げ、融資の返済が難しい企業が一段と増加しかねないため「今後も倒産動向への注視が必要」としている。
 ゼロゼロ融資は2020年3月~22年9月に受け付け、信用保証協会の承諾を条件に売り上げが落ち込んだ中小、個人事業者に実施された。県内ではピークの20年度に例年の5倍に上る1兆900億円の保証承諾が行われ、3年間の利子据え置き期間が満了になる本年度は6~8月を中心に多くの企業で返済が始まっているという。資金繰りが厳しい企業も想定し、政府が補助する「伴走支援型特別保証」による低利子融資への借り換えも用意されている。
 (経済部・金野真仁)

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