静岡県「ふるさと納税」強化 市町活況の陰で県は低迷 旅行券追加、サイト拡充

 静岡県は今夏、ふるさと納税を拡充した。7月から返礼品に新たに旅行券を加え、本県の返礼品を紹介するウェブサイトを追加した。県内市町がふるさと納税で活況となる中、県は寄付額が都道府県別で全国40位程度と低迷する。控除額は増額し、実質的な“赤字”が膨らんでいる。県担当者は「県の魅力を発信する機会としてふるさと納税を活用したい」と意気込む。

ふるさと納税の県への寄付額と県民税控除額の推移
ふるさと納税の県への寄付額と県民税控除額の推移

 県の返礼品は4月時点で「しずおか食コレクション」認定品など約140品目だった。新たに加えた「JTBふるさと納税旅行クーポン」は、寄付額1万円~150万円の5コースから選択でき、それぞれ3割程度の額面の旅行券が返礼品となる。県内では既に導入済みの市町もあるが、県が導入することで、県内全域でJTBが契約する332施設と、旅行雑誌「るるぶ」契約の916施設で使用できるようになる。県は「来県してもらえば、宿泊に伴う飲食や土産購入など地域への波及効果が見込める」と期待する。
 県のふるさと納税メニューを紹介するポータルサイトは、従来契約している「ふるさとチョイス」に加え、検索数1位とされる「楽天ふるさと納税サイト」、同2位の「さとふる」を導入し、発信力を高める。

 静岡県23年度 43億円超“赤字”
 2022年度の本県へのふるさと納税寄付額は2979万円(前年度比2469万円減)で、都道府県別で41位だった。23年度の県民税控除額は43億8229万円(同7億3173万円増)で、差額は43億5250万円の赤字。赤字額は年々増大していて、都道府県別では、多い方から10番目だった。県幹部は「ふるさと納税は市町がメイン。県が特産品をPRしすぎると、県内の市町と競うことになる」と苦しい胸の内を明かす。
 ふるさと納税は、出身地や縁のある自治体に寄付することで、翌年度の居住地の住民税を控除する制度。県民が居住地以外の市町に寄付をすると、居住する市町の個人市民税と個人県民税も控除される。本県では市町の返礼品に注目が集まり、県への寄付額は低迷している。全国的にも多くの都道府県が、寄付額よりも控除による流出額が大きい傾向にある。22年度寄付額と、23年度の控除額で見ると、プラスは山形県のみ。

 静岡県全体は黒字
 県と県内35市町を合わせた県全体へのふるさと納税の収支は“黒字”で推移している。2022年度の寄付額は前年度比17・3%増の328億8536万円(前年度比48億5764万円増)、23年度の住民税控除額は同19・8%増の144億8046万円(同23億8914万円増)で、差額は184億490万円(同24億6850万円増)の黒字だった。都道府県別では全国で11番目に多かった。
 黒字額は20年度判明分が80億5982万円(19年度寄付額147億3368万円、20年度控除額66億7386万円)、21年度は125億5202万円(20年度寄付額211億7026万円、21年度控除額86億1824万円)。22年度は159億3640万円(21年度寄付額280億2772万円、22年度控除額120億9132万円)。ふるさと納税が定着する中、市町などの工夫によって、寄付額が控除額の増加分を上回って増加している。

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