社説(7月27日)学校図書館 充実と格差解消 確実に

 公立の小中学校と特別支援学校小中学部の学校図書館図書購入費として国が措置した地方交付税交付金が、計画通りに活用されていない。交付金の使い道は自治体の裁量に任されているが、本来、図書の購入に充てられるべき財源が、別の用途に回されている現状は見過ごせない。
 地方交付税で措置された額に対する決算額の割合は年々、減少傾向にあり、自治体によって図書の整備状況には差がある。文部科学省は「決算額が増加するよう目指している」とするが、あくまでも要請にとどまる。自治体は蔵書や資料などの充実と格差解消を、責任を持って確実に進めてほしい。
 文科省は3月、全国の自治体を対象に決算額をまとめた。2021年度は220億円を不交付団体以外の自治体に地方交付税で配分、市区町村立の小中学校は約126億円、県立特別支援学校小中学部は約1億円を図書購入に充てていた。国の計画に対する決算額は6割弱にとどまる。
 学校図書館は、知的好奇心を育み、様々な価値観に触れる身近な場だ。思考力を養う探求学習の場としても欠かせない。特に小中学校の図書館は、その後につながる読書習慣を身につける重要な役割を果たす。識者からは「(図書室の)格差を漫然と放置している現状は学習権の侵害に当たる」との指摘もある。
 文科省が定める学級数に応じた蔵書冊数の目標「学校図書館図書標準」を達成している学校の割合は、19年度末現在、小学校で71・2%、中学校は61・1%。静岡県はそれぞれ82・5%、59%で、市町ごとの達成率を見ると小学校では28・6~100%、中学校では0~100%と大きなばらつきがある。
 国は22年度から学校図書館整備の第6次5カ年計画をスタートさせ、全小中学校での図書標準達成を目標に掲げる。校長は「学校図書館長」としての役割も担っている。その責任を自覚し、強いリーダーシップで図書の現状把握と充実に努めてほしい。
 活字文化議員連盟と学校図書館議員連盟は先月、非正規雇用が多い学校司書の労働条件改善などを求める決議を採択した。図書や資料の充実に限らず、専門性が高い人材が継続的、安定的に職務に従事できる環境整備も重要だ。
 県教育委員会は各校が自校の学校図書館を分析、評価する「学校図書館チェックシート」を作成し、機能の充実や改善を図っている。校内で図書館の重要性や授業で効果的な活用法などを共有するために、有効活用してほしい。県教委や市町教委は、子どもたちの「教育の機会均等」の視点で、学校図書館への支援に努めるべきだ。

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