富士山入山料義務化6割反対 登山者負担増を懸念【富士山世界遺産10年 山小屋アンケートから㊦】

 静岡、山梨両県が富士山世界遺産登録後の2014年から登山者を対象に本格導入した入山料(保全協力金、1人1000円)。現状は任意徴収だが、両県は公平性確保の観点から、自治体が独自に課税する「法定外目的税」として義務化を検討している。富士宮、須走、御殿場の静岡県側の山小屋経営者を対象に静岡新聞社が行ったアンケートでは、回答した20事業所のうち6割に当たる12事業所が税徴収に反対した。賛成したのは1事業所だけだった。

富士山入山料を「法定外目的税」として登山者に義務化することへの考え
富士山入山料を「法定外目的税」として登山者に義務化することへの考え


 反対の主な理由は「(コロナ下の宿泊定員減に伴い)料金を値上げした山小屋が多く、さらに登山者の負担が増すことになる」(富士宮)、「登山者の減少につながる」(須走)など登山者の負担増を懸念する声が多かった。入山料は登山者の保全意識醸成や環境保全対策の推進を目的としているが、「入山料徴収は登山抑制という規制につながる。規制を強化するだけで保全はできない」(須走)と入山料の制度そのものや、入山料に頼った施策を疑問視する意見も複数挙がった。
 唯一、入山料義務化に賛成の立場を示した須走の経営者は「3千円くらいとってもいい。その分(山小屋の)トイレの無料化につなげてほしい」と要望した。 静岡新聞社と山梨日日新聞社が22年夏に登山者200人を対象に実施した合同アンケートでは75・5%が入山料義務化に賛成していて、今回の山小屋アンケートは登山者と異なる傾向を示した。
 山小屋アンケートでは、世界遺産登録のプラス面とマイナス面も尋ねた。プラス面は「世界中に富士山の魅力を知ってもらい、海外の客が増えた」(須走)、「ごみを持ち帰る人が増えた気がする」(富士宮)と、来訪者の増加や登山者の保全意識向上を挙げる経営者が多かった。
 マイナス面には「規制の強化で須走は登山者が激減し、経営に支障が出た」(須走)、「何をするにも許可が必要。保全協力金の補助金も使い勝手が悪い」(御殿場)と、経営への影響を指摘する声が目立った。外国人登山者についても「気軽な観光目的が多い。マナーは悪いし、事故も増えた」(富士宮)と一長一短あることをうかがわせた。「登録のメリットはなかった」(御殿場)と厳しい意見も寄せられた。
 (政治部・尾原崇也、御殿場支局・塩谷将広、富士宮支局・国本啓志郎が担当しました)

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