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全員営業、変わらぬ姿勢 岩山靖宏/清水銀行頭取【聞きたい】   

 人事制度改革などに取り組む新たな中期経営計画を今春スタートさせた。新型コロナウイルス感染拡大が一服した一方、事業承継や脱炭素など中小企業が抱える課題は依然として多い。顧客に対して一層「踏み込んでいく」ことが、地元地銀としての存在感アップにつながると考えている。

岩山靖宏清水銀頭取
岩山靖宏清水銀頭取

 -前の中期経営計画は2020年4月の就任と同時にスタートした。
 「頭取という立場になりコロナ禍の中、県内の企業500社を自分の目で見て回った。社会的混乱の中、ビジネスモデルの転換、事業承継、設備投資など顧客のニーズの多様化が顕在化し、ソリューション営業の必要性を痛感した。『融資は必要ありません』という取引先も含め、お客さまの課題にいかに寄り添えるかを考えた末での新しい中計となった」
 -新しい中期経営計画に盛り込んだ人事制度改革やソリューション営業の高度化をいかに進めるか。
 「コロナ禍を経験し、実は原点回帰した部分も多く、清水銀行の存在意義と未来に向けての志を明文化した『パーパス』として『地域を愛し、お客さまの未来をともに考え、共創します』を制定した。人的資本の充実に向けて、若手の処遇改善、公的資格取得に対する報奨金制度などを改定予定だが、最も軸となる単線型人事制度は変えない。総合職や一般職の区別なく、全員が同じ採用。『全員で営業するんだ』という経営層からのメッセージだ。ソリューション営業では、22年4月から始めた『ポジティブ・インパクト・ファイナンス』は41件、計56億円の実績があり、件数は地銀でも最高水準となっている。清水銀行の強みに育てたい」
 -増収減益となった23年3月期連結決算を振り返って。
 「順調に来た本業部分に対し、海外金利の上昇に伴う資金調達コスト増が響いた。国内外の金利動向は見通しがつかない部分があり、慎重な見極めを続けていくつもりだ」
 -中計ではSBIグループとの連携領域拡大も盛り込まれた。
 「SBI新生銀行はさまざまなストラクチャードファイナンス(仕組み金融)の実績があり、連携による新たな金融手法の獲得を期待している。既にいくつかの案件で協力関係にあり、徐々に成果が芽吹いていくだろう。交流を活発化させることを通じて、人材磨きをしていきたい」
 (聞き手=清水支局・坂本昌信)

 いわやま・やすひろ 立教大卒、1988年清水銀行入行。経営企画部長、取締役総合統括部長、専務などを経て2020年4月から現職。富士市出身。58歳。

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