「またか」磐田・敷地川2年続けて決壊 住民落胆、住宅浸水

 磐田市は3日、堤防が決壊した市北部の敷地川周辺の現地調査を実施した。昨年9月の台風15号で決壊した箇所が再び被災し、付近では住宅の浸水や農園への土砂流入被害が広がった。「またか」-。自宅に流れ込んだ土砂のかき出しなどに追われた住民たちの表情には落胆の色がにじんだ。

敷地川の堤防が決壊した現場=3日午前10時52分、磐田市敷地(本社ヘリ「ジェリコ1号」から)
敷地川の堤防が決壊した現場=3日午前10時52分、磐田市敷地(本社ヘリ「ジェリコ1号」から)
敷地川の堤防が決壊した現場=3日午前10時52分、磐田市敷地(本社ヘリ「ジェリコ1号」から)

 県袋井土木事務所によると、2日午後6時ごろ、応急復旧工事を行った区間約80メートルが崩れた。市によると3日午後3時現在、市内で建物の床上・床下浸水41件を確認。このうち29件が決壊箇所周辺だった。
 台風15号の被害から元の生活を取り戻しつつあった住民たち。自宅が再び床上浸水した伊藤通子さん(73)は「昨年末に自宅の応急的な修繕が終わり、ようやく戻ってこられたのに、また同じことを繰り返さなければならない。リスクを考えると、もうここには住めないかもしれない」と肩を落とした。
 堤防の復旧工事を担っている県への不満の声もこぼれた。昨年末に完成したばかりの新居が床上浸水した会社員男性(29)は「半年以上、土のうを積んだ応急復旧状態のままで不安だった。早く本格的に復旧してもらわないと安心できない」と話した。
 県袋井土木事務所は今年秋に堤防の本格的な復旧工事を開始する予定だった。榊原正彦所長は応急復旧した堤防が決壊した原因について、長時間にわたって雨が降り続けたことで「予想外の水量が流れた」と説明した。同事務所は3日、決壊箇所の応急復旧工事に改めて着手。前回より大型土のうの重量を増やすなどの対策を講じる方針。
 敷地川周辺を視察した草地博昭市長は「同じ箇所が2度決壊したことは被災者にとって痛恨の極み。一刻も早く日常生活を取り戻せるよう積極的に支援していきたい」と述べた。

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