コロナ禍ゼロゼロ融資 返済開始6月から激増 静岡県、中小支援へ
新型コロナウイルス感染症で打撃を受けた中小企業に対し、国が金融機関と連携して無利子・無担保で運転資金などを貸し付ける「国連携新型コロナ感染症対応貸付」(通称・ゼロゼロ融資)の返済開始が6月以降、ピークを迎える。県は金融機関に有利子移行後の融資利率引き下げを呼びかけるほか、経営体質改善に向けた新規事業展開を促す補助制度を始め、物価高騰など厳しい環境にある中小企業を支援する。

ゼロゼロ融資は3年間無利子で上限6千万円を融資する制度。4年目以降の融資利率は1・90%で、元金据え置き期間は最大5年に設定されている。
国連携貸付は、県内に約4万8千件あり、2023年3月末時点で返済が始まったのは48・6%。今後、残る5割の返済が本格化する。6月約1400件、7月約3千件、ピークの8月は約3100件に上り、24年5月までの1年間で返済開始が集中すると予想され、資金繰りが悪化する企業が相次ぐ懸念がある。
県は、貸付4年目以降の融資利率1・90%からの引き下げを金融機関に求め、ことし4月に「1・90%以内」に制度改正するなど独自に金利負担軽減を図る。借り換えを目的にした融資制度「新型コロナ対応伴走支援特別貸付」の融資限度額を引き上げ、要件も緩和して借り換えを促す。
高橋良和県商工業局長は、コロナ禍からの回復が遅れる飲食業、宿泊業は物価高騰で仕入れや光熱費、人件費などが増加し、利益を確保できない状況にあるとの認識を示す。「何とか廃業を避けたい。柔軟な制度融資だけでなく、挑戦を促す補助制度を組み合わせて成長を支える」という。
同局によると、国連携貸付を含めた19年度以降の新型コロナ関連資金申し込み件数は23年3月末時点で、約7万1500件、総額約1兆1920億円。