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宅地整備で方針転換 被災者復旧に90%補助 熱海・伊豆山の土石流被災地

 熱海市伊豆山の土石流被災地の復旧復興事業に関し、市が宅地部分の復旧手法を変更したことが23日までに関係者への取材で分かった。これまでは市が宅地をいったん買収し、造成してから住宅再建を希望する被災者に分譲する方針だったが、宅地の復旧工事は被災者が行い、その費用の90%を市が補助する。市は被災者に補助金制度の通知文書を送っていて、説明会も開きたいとしている。

土石流が流れ下った被災地現場。熱海市は宅地復旧費用の90%を補助する=23日午後、同市伊豆山
土石流が流れ下った被災地現場。熱海市は宅地復旧費用の90%を補助する=23日午後、同市伊豆山

 市は昨年5月の住民説明会で、国の交付金を活用して公共施設などを整備する小規模住宅地区改良事業に合わせて被災した宅地を買収、造成、分譲する方針を示していた。ただ、市が買収した時の土地価格よりも整備後の価格の方が高くなるほか、被災者が住んでいた場所の土地を購入できない可能性があることから、土地売却に難色を示す被災者が少なくなかった。
 市の補助は土石流で被災した宅地を被災前の状態にするための費用の90%を補助する。市復興調整室の担当者は「被災者の生活支援と現地の安全確保が目的なので、補助対象に被災者が帰還するかどうかは問わない」とし、「分譲するまで土地価格が分からないという被災者の不安が軽減され、早期復旧も見込める」と利点を強調した。
 一方、逢初(あいぞめ)川の改修や市道整備の計画に変更はなく、宅地が丸ごと重なる世帯もある。担当者は代替地を紹介するなどして、「なるべく希望に沿えるように調整したい」と話した。
 市の方針転換に至るまでの対応に被災者の太田滋さん(66)は「被災者の声を聞かず、説明も不十分だった。もっと早くやってくれていれば、被災者の選択肢はもっと増えていたはず」と苦言を呈した。妻のかおりさん(57)は補助制度について「宅地は整備できても、金銭的に家を建てられない人がいる。帰りたいのに帰れない人を助ける制度にはなっていないのでは」と指摘した。

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