沼津市に移住者急増、前年度比5倍超 首都圏アクセス良好、人気アニメ舞台魅力

 行政の支援制度を活用した昨年度1年間の移住者が急増した沼津市。官民連携が奏功したのが要因とされ、前年度から5倍超の253人に達した。うち7割が首都圏からで、勤務先を変えずに移住できる地理的メリットに加え、同市が舞台の人気アニメが移住のきっかけとなるなど他市町にはない特徴も背景にある。

沼津市の移住定住推進室。相談も増えている=同市役所
沼津市の移住定住推進室。相談も増えている=同市役所


 「アクセスの良さが理由」。月数回、都内の勤務先に通う小池祥子さん(39)は1年前に家族で移り住んだ。2人の子供の教育面も考え、同市内に理想の学校があったことも決め手になったという。「都内に住んでいた頃より、住居スペースは2倍で家賃は半分。その分、子供の教育費やレジャーに回せる」と話す。
 市移住定住推進室によると、移住者アンケートで沼津に決めた理由として、首都圏との利便性が目立ったほか、食べ物のおいしさや自然が多いなどの回答があった。
 一方、「“聖地”を何度か訪れているうちに気に入った移住者もいる。沼津特有では」と前原正樹室長。人気アニメ「ラブライブ!サンシャイン‼」は、平日でもファンがアニメに登場する市内各所を“聖地巡礼”する光景が見られる。愛知県から移住した今田隼輔さん(26)は「西浦地区からの海と富士山の絶景が素晴らしいと感じた」と言う。
 沼津への移住者は2019年度94人、20年度40人と伸び悩んでいたが、市と民間支援組織「ぬまづ暮らしオススメ隊」(不動産業者や金融機関、人材派遣業者、移住後の支援組織など18社・団体)の連携が回り始めたのが大きい。オススメ隊に所属し、県東部で支援を展開する有限会社日の出企画(三島市)の山田知弘代表取締役によると、行政が移住後の住居や就職で特定の不動産業者や企業を紹介するのは難しく、「どうしても民間の力が必要で、その点をカバーできた」と両者が役割を担えていると指摘。情報やニーズの共有、所属企業・団体同士の連携も要因とみる。  20代5割、30代3割 相談件数も大幅増
 沼津市によると、移住世帯の内訳は約5割が20代、約3割が30代と若年層が中心という。
 昨年度の相談件数は278件で、前年度(158件)から大幅に増えた。相談はほぼ連日寄せられ、補助制度などの確認のために直接市役所に訪れるケースも多い。
 市は本年度、関連予算を増額するとともに、相談会開催やタクシー事業者と連携した移住希望者の現地案内などのほか、移住後のフォローについて民間と進める。

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