市民に寄り添う「温かさ」/難波氏 浜松から「新時代を創る」/中野氏【新市長対談詳報㊤】
4月の統一地方選でそれぞれ初当選を決めた静岡市の難波喬司市長と浜松市の中野祐介市長は18日、静岡新聞社・静岡放送が企画した政令市長対談に臨んだ。理想とする市政運営の方針を漢字一文字で表現した上で、意気込みや思いを語り合った。市の強みと課題を踏まえ、両市間や県との連携に意欲をみせた。静岡大と浜松医科大の運営法人統合・大学再編についても持論を述べた。
目指す市政の姿
難波氏 温かい市政運営をしたいので、「温」という文字にした。人の心に寄り添って、社会の力を下支えする。市民の思い、行動もしっかりと下支えし、一緒に走る。これを心がけたい。そのためには温かい市政が大事だ。
中野氏 浜松から地方創生をするという思いを込めて「創」という言葉を書いた。難波市長のおはこでもある市民との「共創」、これからの新しい時代を「創っていく」との意味もある。これを市民の皆さんとやっていきたい。
人口減 転換しうる潜在力/中野氏
「新しい知」取り入れ発展/難波氏
市の強みと課題
中野氏 浜松市の強みは「高いポテンシャル」。自然豊かで、産業構造も分厚い。また、温暖な気候で暮らしやすく、人柄には「やらまいか精神」が根付いている。どこの自治体にも負けない力がある。面積という点でも全国2番目の大きさで、市内のさまざまな場所に多くの力が存在する。
難波氏 静岡市は市民の「温かい心」が一番の強みだ。居るだけで心が落ち着く、ホッとする社会というものがある。それが静岡市だと思っている。
中野氏 一番の課題は「人口減少」だ。高いポテンシャルを持っているにもかかわらず、人口がじわじわと減り、少子高齢化が進んでいる。ポテンシャルを引き出すことによってこの流れを転換し、浜松をもっと元気なまちにしていく。
難波氏 浜松市と同様に静岡市も人口減少という課題を抱えている。その上、進行は浜松市よりも速い。さらに、科学技術や行動様式など、世の中が大きく変化する中で、それらにどのように対処していくかが重要だ。自前主義だけでは大きな発展はない。これから必要なのは「新しい知」。世界にある多くの知性や知恵、知能をさらに取り入れて対応する必要がある。
静大・浜医大統合再編
中野氏/1法人2大学「賛成」鮮明
難波氏/法人形態「大学間で話を」
静岡大と浜松医科大の運営法人統合・大学再編を巡っては、浜松市の中野祐介市長が1法人2大学の現行案に「賛成する立場」との考えを鮮明にした。静岡市の難波喬司市長は「医工情連携」の議論には前向きな姿勢を示した一方、法人の経営形態については「大学自治の問題」として言及しない構えをみせた。
中野市長は1法人2大学の現行案実現を目指し、地元経済界を巻き込んで期成同盟会の設立を主導した鈴木康友前浜松市長の意向を継承する姿勢をうかがわせた。現行案は2019年に両大が合意した「決められた話だ」との認識を示し、「大学の自治に地域が首を突っ込むなという意見もあるが、われわれとしては全面的に応援したい」と強調した。
静岡市は田辺信宏前市長が大学自治を尊重するとの理由で静観の立場だった。これに対し難波市長は「魅力ある大学をつくるため、どう連携するかは地域にとって極めて大事。積極的に関わる」と議論の必要性を強調した。ただ「法人の在り方を一緒に議論すると変なことになる。別の問題として扱うべきだ」と指摘し、「法人の形態は大学間で話をすればいい」とした。