記者コラム「清流」 桜並木とともに

 昨年9月の台風15号で堤防が決壊した磐田市の敷地川で、住民が守り続けてきた桜並木が今年も咲き誇った。復旧工事で一部が除去されるため、今の桜並木は見納めに。農村風景と調和した美しい花盛りが見られなくなるのは寂しい。
 桜は半世紀以上にわたって住民を楽しませ、地域を見守ってきた。老齢期に入っているが、住民が枝打ちなどの手入れをし、大切に保全してきた。「地域の象徴」。自治会役員は誇らしげに語った。
 すぐ下流には応急復旧用の土のうが積まれ、いまだに台風の爪痕が残る。今後の安全を考えると改修は避けて通れない。県と市は住民たちの思いをくんで、新たな桜堤の整備を地元に提案した。桜も地域も苦難を乗り越え、再び花を咲かせてくれると期待している。
(磐田支局・八木敬介)

いい茶0
あなたの静岡新聞 アプリ
地域再生大賞