サツマイモ害虫 浜松で緊急防除 1年間作付け禁止に アリモドキゾウムシ

 浜松市内で昨年10月に初めて確認された国指定の重要病害虫「アリモドキゾウムシ」の緊急防除が今月中旬、始まった。来年3月末まで、西区と南区の対象区域でサツマイモの作付けや出荷、アサガオの栽培などが禁止される。生産者らは「1年で終わるように、しっかり駆除してもらいたい」と切実な声を上げる。

アリモドキゾウムシの成虫(農林水産省HPより)
アリモドキゾウムシの成虫(農林水産省HPより)

 19日から行われている緊急防除の区域内約100人のサツマイモ生産者のほとんどは、タマネギとの二毛作を行っている。西区の農場では28日、生産者がタマネギを収穫していた。例年はこれからサツマイモの作付けが始まるはずだった。
 西区の農業鈴木健太さん(38)は「しばらくできなかった畑の整備をしようと思う」と話す。国が農業者の損失を補償するが、これを機に農業をやめる考えの高齢者もいるといい、地域の農業力の減退を懸念する。
 一方で、緊急防除を見据え、JAとぴあ浜松(東区)はサツマイモの代替作物の栽培を提案してきた。西区の生産者(29)は「キャベツとニンジン、落花生の栽培に取り組む準備を進めている」と初めて栽培する農産物の資材購入など準備を進める。
 緊急防除は捕獲地点から半径1キロ圏を中心に規制区域を定め、国や県などが実施する。同市内のアリモドキゾウムシは昨年12月初旬までに22地点で467匹を誘殺した。成虫の平均寿命は約4カ月。その後は確認されていないが、気温の上昇で再発生する可能性がある。

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